墓じまい

墓じまいをして永代供養墓に遺骨を移すときに確認をしておくべきこと

先祖代々の墓や親の墓が遠くにあるために、なかなかお墓参りに行けなかったり、将来的に墓守がいなくなってしまうことを心配したりする人たちが、墓じまいをして遺骨を永代供養墓に移すケースが増えています。

永代供養墓というのは、家族の代わりに遺骨の供養や管理をしてくれるお墓のことです。

たとえお参りをする人が誰もいなくても、無縁仏や無縁墓となる心配がないことから、永代供養墓と呼ばれているわけです。

ここでは、先祖代々の墓や両親の墓などを墓じまいをして、遺骨を永代供養墓に移そうと考えている人が確認をしなければならないことや注意をすべきことなどについて書いてみたいと思います。

永代供養墓では遺骨がどのような形で埋蔵や収蔵されるのか

永代供養墓といってもさまざまなタイプがあり、埋蔵や収蔵の方法もさまざまです。

これから墓じまいをして永代供養墓に遺骨を移そうと考えている人は、その永代供養墓でどのような形で埋蔵や収蔵がされるのかを確認しておく必要があります。

個別に納骨するタイプなのか他の遺骨と合祀するタイプなのか

永代供養墓には、遺骨がそれぞれ個別の墓石に安置されるタイプのものと、納骨堂などに集合安置をするタイプがあります。

個別の墓石があるタイプですと、これまでのお墓と同じように接することができますので、永代供養墓とはいってもそれほど違和感をおぼえることはないでしょう。

それに対して、集合安置タイプの永代供養墓の場合は、納骨堂に設置されたコインロッカーのように仕切られた空間に遺骨を納めたりすることになりますので、これまでの個別のお墓になれている人にとっては、ちょっと違和感があるかも知れません。

また、こうした個別に遺骨を納めるタイプの永代供養墓とは別に、1つの墓石の下に他の遺骨と合祀するタイプのものもあります

こうした合祀タイプの永代供養墓だと、どうしても自分の先祖を供養しているというイメージを持ちにくいかも知れません。

これから永代供養墓を探す人は、どういったタイプのお墓にするのかを考えておく必要があります。

永代供養墓の使用期間についてもしっかりと把握しておく必要があります

永代供養墓というと、このままずっと永遠に遺骨をそこに安置してもらえると勘違いをしてしまう人もいるかも知れません。

しかし、多くの霊園では永代供養墓に遺骨を安置しておくことのできる期間が定められています

供養の期間を33回忌までとしている永代供養墓が多い

霊園によっても異なりますが、永代供養墓に遺骨を個別に安置しておける期間が、17回忌、33回忌、50回忌などの区切りまでとされているのが一般的です。

安置期間を33回忌までとしている霊園が一番多いようです。

永代供養墓とはいってもスペース的には限られていますし、亡くなる人はこれからもたくさん出てきます。

1つの遺骨がそのスペースを永遠に占有するということは、物理的にできないというのが実情なのです。

ですから、永代供養墓とはいっても、厳密には「永代」にわたって遺骨の管理と供養をしてくれるわけではないということになります。

一方、お寺で管理する永代供養墓の場合には、明確に供養の期間が定められていないところもあります。

そういった期間の定めのない永代供養墓の場合は、子孫が檀家を離れた時点で永代供養の期間が終わるとしているのが一般的です。

永代供養墓を探すときには、こうした期間についてもいろいろと確認をしていくことが大切です。

永代供養墓の期限がすぎてしまった遺骨はどうなるのか?

永代供養墓の期間がすぎてしまったら、どうなってしまうのか不安に思う人もいることでしょう。

多くの霊園では、安置する期間の過ぎた遺骨は、他の遺骨と合祀をすることになります。

もちろん、合祀となったからといって、まったく供養をしてもらえなくなるということではありません。

合祀されたあとも、他の遺骨と一緒に継続して供養をしてもらうことができます

期間が過ぎて合祀になると、管理費などはかからなくなるのが普通ですが、個別に命日や年回忌などの供養が行われることはありません。

もし、合祀後に個別の命日や年回忌に供養を行いたい場合には、別途で料金が発生するのが普通です。

また、合祀となったあとには、特定の人の遺骨だけを取り出すということはできなくなってしまいますので、あとで後悔しないためにも、その点だけはしっかりと頭に入れておくようにするといいでしょう。

永代供養墓にかかる費用はどれくらいか

永代供養墓を探すときに、費用がどれくらいになるのかを確認することも重要です。

永代供養墓といっても、実際にかかる費用はさまざまな条件によって変わりますが、ここではお墓の種類ごとに目安となる金額を紹介してみたいと思います。

他の遺骨と合祀をするタイプの永代供養墓にかかる費用の目安

多くの人と共同で一つのお墓を利用する合祀タイプの永代供養墓の場合、1霊あたりの費用は10万円~30万円程度が目安になるでしょう。

これは1霊あたりの金額ですので、たとえば夫婦2人の遺骨を納めるということになれば、2倍の費用が発生することになります。

こうした合祀タイプの永代供養墓の場合は、費用が発生するのは最初だけで、その後の年間管理料や維持費などがかからないのが普通です。

個別に遺骨を納めるタイプの永代供養墓にかかる費用

個別に遺骨を納めるタイプの永代供養墓の場合には、合祀タイプにくらべて費用的には多くかかるのが一般的です。

ロッカータイプの骨壺が入るだけのスペースのものであれば、25万円程度から利用できるところもあります。

個別に墓石を建てるタイプの永代供養墓ですと、墓石代がかかりますので、それなりに高額な費用が発生することになり、80万円~200万円が相場になります。

ただし、先ほども書きましたように、これらの費用を支払っても、永久にそのスペースを確保できるわけではありません。

33回忌などの期限がきたら、そのスペースを明け渡して、合祀墓の方に移されることになります。

また、こうした個別に遺骨を安置するタイプの永代供養墓の場合は、年間で数千円~数万円の管理料が発生するところもあります。

霊園によっては最初に納める費用だけで年間の管理料などは一切発生しないところや、一括前払いの形でお墓を購入したときに管理料もまとめて支払うところなどさまざまです。

事前にしっかりと確認をしておくといいでしょう。

宗旨や宗派が問題ないかも必ずチェックをしましょう

永代供養墓に納骨をするにあたって、宗旨や宗派を問わないところも多くなっています。

そういった霊園や寺院の永代供養墓であれば、戒名なども関係なしに俗名のままで供養をしてもらうことが可能です。

しかし、永代供養墓といっても寺院によっては檀家さん専用の場合もあります

そういったところですと、基本的に檀家さんにならなければ永代供養墓に納骨をしてもらうことはできません。

また、宗派で気をつけなければいけないのが、浄土真宗です。

浄土真宗の場合には、そもそも永代供養の習慣はありません。

人は亡くなるとすぐに成仏できるという教えを説く浄土真宗には、永代供養という考え方は適さないのでしょう。