墓じまいをするときには、いまのお墓を解体撤去して更地にしなければなりません。
しかし、お墓の解体撤去などは一生に何度も経験するものではありませんので、いくらかかるのか相場が分からないという人がほとんどだと思います。
多くの人に相場観がないことをいいことに、高額な撤去費用を請求するような悪質な業者もいるようです。
ここでは、墓じまいを検討されている方が、お墓の撤去解体費用としてどれくらいの金額を見込んでおけばいいのかについて解説してみたいと思います。
お墓の解体撤去費用は1㎡あたり8万円~15万円が相場になります
お墓の解体撤去費用は、地域や依頼をする石材店などによって変わってきますが、目安としては1㎡あたり8万円~15万円が相場だと考えておいていいでしょう。
たとえばお墓の面積が3㎡だとすれば、24万円~45万円が妥当な金額ということになります。
もし、この範囲を大きく超えるような見積もりを提出してくるような石材店があれば、要注意ということになります。
重機が入っていけるかどうかで実際の解体撤去費用は大きく変わります
お墓の撤去解体費用は1㎡あたり8万円~15万円が相場ということはお分かりになったかと思いますが、この金額を大幅に超える見積もりを提出してくる石材店を単純に悪徳業者だと決めつけることはできません。
なぜなら、お墓がある場所によって、実際の撤去解体費用は大きく変わってくるからです。
特に、墓地が狭くて重機が入っていけないようなところだと、すべての作業を人力で行わなくてはならなくなるため、どうしても割高になってしまいます。
また、隣のお墓とぴったりくっついてしまっているようなところも、隣のお墓をキズつけないように養生をしたり慎重に作業をしたりしなければならないために、割高になることがあります。
お墓の解体撤去は、重機が入っていけて作業がしやすい場所であれば、半日程度で終了してしまうのが普通です。
しかし、重機が入っていけなかったり慎重に作業を進めなければならなかったりするような場所だと、撤去が完了するまで2日~3日かかってしまうこともあります。
多くの手間がかかることになれば、見積り金額が高くなってしまうのは仕方のないところです。
お墓を建てるくらいの費用が発生してしまうケースもあります
お墓の解体撤去費用の相場としては、1㎡あたり8万円~15万円が目安となりますが、場所によっては新しくお墓を建てるのと同じくらいの高額な費用が発生してしまうケースもあります。
たとえば、自分のお墓のある区画内に大きな木があって、その大きな木の根が隣の区画に伸びてしまって外柵が壊れかけているといったようなケースです。
こういった場合ですと、隣の区画の外柵をいったん外しておいたうえで、木を根から撤去しなくてはなりません。
そして、木を撤去して整地をしたあと、はずしておいた外柵をもとに戻すという作業が発生することになります。
かなり大がかりな作業となってしまいますので、場合によってはお墓を建てるほどの費用が発生してしまうこともあるわけです。
半日程度で解体作業が終わってしまうのに数十万円は高くないか?
重機が入れるような作業しやすい墓地であれば、大抵の場合は半日ほどで作業が終了してしまいます。
たった半日で作業が終わってしまうお墓の解体撤去に、なぜ30万円~40万円もの費用がかかるのか疑問に思う人もいることでしょう。
お墓を建てる場合であれば、石材などの原価が発生しますが、解体撤去の場合はお墓を壊すわけですから、そういった原価は基本的に発生しないはずです。
作業そのものは半日程度で終わってしまうわけですから、手間賃として考えた場合はかなりの割高な金額に思えてしまいます。
しかし、お墓の撤去解体の場合は、石材などの材料費はかかりませんが、その代わりに撤去した墓石や残土などの処分費用が発生することになります。
処分業者も、墓石の受け入れを嫌がるところが多いので、受け入れてくれる業者は限られてしまいます。
そのため、一般の産廃などとくらべてどうしても処分費用が割高になってしまわけです。
相場よりも高い業者に発注しないために注意すべきこと
お墓の解体撤去には、一般の商品のように定価というものがありません。
お墓の解体撤去作業というのは工事になりますから、事前に見積もりをもらったうえで、発注者と受注者が納得できる金額で請負契約をすることになります。
そして、業者は契約した金額で責任を持って最後まで仕事を終わらせる義務を負うことになります。
先ほども言いましたように、お墓の解体撤去には定価というものがありませんので、石材店によって実際に出てくる見積もり金額は千差万別となります。
そのため、たまたま見積もりを依頼した業者によって、高かったり安かったりということが起こるわけです。
少しでもお墓の解体撤去費用を安く済ませようと思った場合、どういった工夫をすればいいのでしょうか?
複数の業者から相見積もりをとって料金を比較する
お墓の解体撤去には定価がないということになると、ある意味では業者の言い値で見積もり金額が決まることになります。
実際に、80万円の見積りを提出してきた業者に対して、他の業者の見積り金額を伝えたところ、「半分の40万円に値引きします」などと言ってきたりするケースもあるようです。
つまり、本来であれば40万円でできる仕事に対して、2倍の金額をふっかけていたということになるわけです。
もし、他の業者から見積もりを取って比較をせずにいたら、そのままその業者に80万円で依頼をすることになっていたかも知れません。
一般の人がお墓の解体撤去費用の相場を知らないのをいいことに、取れるだけお金を取ってやろうという悪質な業者も実際にいます。
そういった業者の餌食にならないためにも、複数の石材店から相見積もりを取って比較をするということはとても重要といえます。
実際に相見積もりをとってみると分かりますが、一番高い業者と安い業者で2倍近い金額差になることもめずらしくありません。
石材店が指定されてしまっている墓地の場合はどうすべきか?
墓地によっては、解体撤去をする石材店が指定されていることも少なくありません。
こうった墓地では、他の石材店の方が料金的に安かったとしても、そこに依頼をすることはできません。
もちろん、業者が指定されていることのメリットもないわけではありません。
墓地管理者の指定業者ということであれば、その業者が悪徳業者である可能性は低いと思います。
しかし、業者が指定されてしまうことによって競争の原理が働かないということになれば、どうしても見積もり金額は高くなりがちです。
他の業者に仕事を取られる心配がないのであれば、あえて見積もり金額を安くする必要はないからです。
もし、業者が指定になっている墓地でお墓の解体撤去をする場合には、なぜその見積もり金額になるのか、内訳をしっかりと確認するようにしましょう。
1㎡あたり見積もり金額が8万円~15万円の範囲に収まっているのであれば、とりあえずそのままその業者に依頼をしてしまっていいと思います。
しかし、1㎡あたり15万円を超える金額の見積りができてしまい、その金額にどうしても納得が行かない場合には、墓地管理者やお寺の住職などに相談をしてみるといいでしょう。