天涯孤独の高齢者には、さまざまな不安がつきまとうことでしょう。
そういった不安の中でも、より深刻なのが「自分が死んだらどうなってしまうのか」という問題だと思います。
誰にも看取られずに孤独死をしてしまい、自治体によって無縁仏として共同墓に納骨されてしまう自分の最後を想像するのはつらいと考える人も多いことでしょう。
そんな天涯孤独の高齢者に注目をあびているのが、共同墓付きの老人ホームなどの高齢者向けの施設です。
死ぬまでそこで過ごし、亡くなったあとにはそこで一緒に生活をしていた仲間たちと同じお墓に入ることができるのです。
気の合った仲間と一緒にお墓を建てる「墓友」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思いますが、老人ホームがまさに「墓友」を供養するためのお墓を用意してくれているわけです。
ここでは、共同墓地付きの高齢者施設にについて詳しく解説してみたいと思います。
入居者の共同墓を老人ホームが永代にわたって管理
共同墓付きの老人ホームでは、近くの霊園などに入居中に亡くなった人のための墓地が用意されています。
共同墓といっても、同じ老人ホーム内で暮らしていた気心が知れた人たちと同じお墓に入るわけですから、自治体などで運営しているような無縁仏を合祀する共同墓とは明らかに意味合いが違います。
老人ホームで管理するお墓ですから、墓守などの後継者の心配をする必要がありませんし、永代にわたって供養もしてくれます。
天涯孤独の人が老人ホームに入居したとしても、自分が死んだあとの不安は消えることがありませんが、共同墓地付きの老人ホームであれば、看取りからお墓に入るまでをお任せできてしまうわけです。
老人ホームの共同墓に入るためには、利用費として10万円ほどを支払う必要がありますが、自分で永代供養付きの墓地や納骨堂などを探す手間暇を考えれば、決して高くはないと思います。
お墓だけではなくお通夜や告別式を行ってくれる老人ホームもあります
老人ホームに入居中に亡くなって、そのまま施設で運営している共同墓に入ることができれば、天涯孤独の人であっても死後の心配はしなくてもいいことになります。
しかし、人によっては、お墓に埋葬をしてもらうだけではなく、正式にお通夜や告別式を行ってほしいと考えている人もいると思います。
そういった場合でも、共同墓付きの老人ホームであれば、別途で費用を支払うことで対応をしてもらうことが可能だったりします。
費用の目安としては、どこまで本格的にやるかによりますが、お坊さんに渡すお布施代まで含めて30万円~80万円程度が相場となるようです。
天涯孤独の人にしてみれば、老人ホームで看取りからお葬式、そしてお墓までを手配してくれるということであれば、将来に対する不安をかなり減らすことができるに違いありません。
生前に自分の死んだあとのこと考える終活があたり前の時代
かつては、施設が入居者のお葬式やお墓のことを前面にだすというのは、あまり印象がよくないという考え方が主流でした。
つまり、入居者のためのお墓まで用意しておくなんて「縁起でもない」と考える人が多かったわけです。
そのため、自宅を処分して生涯を老人ホームで過ごすことに決めたとしても、身寄りのない人にとっては看取りや葬式、お墓といった人生の最終盤における悩みを根本的に解決することはできませんでした。
ところが最近では、自分自身の老後の身の振り方を終活という形で真剣に考える人が増えてきています。
2035年には日本人の2人に1人がおひとりさまになるであろうという予測もあり、「死んだあとのことを考えるのは縁起でもない」などと言っているような状況ではなくなってきているわけです。
参考記事:2035年に日本人の2人に1人が「おひとりさま」になる?~天涯孤独の人が増える背景
そういったニーズがあれば、それに応えようとするサービスが登場してくるのは必然の流れといえます。
身寄りのない人が老人ホームに入居するときには、しっかり死んだあとのことまで考えなければならない時代になってきているのです。
看取りからお墓までをすべてお任せできる老人ホームがこれからどんどん増えて行くことによって、天涯孤独の人の将来に対する不安の1つが解決できるようになることでしょう。
共同墓付きのサ高住もあります
天涯孤独の人にとっては、看取りからお墓まで用意してくれる共同墓付きの老人ホームは終の棲家としてとても魅力を感じるに違いありません。
しかし、有料老人ホームというのは、入居をするときに高額な費用が発生するところが多くなっています。
施設によっては、数千万円の費用を支払わないと入居できないようなところもあります。
そのため、自宅を売却したお金を入居費用にあてたりする人も少なくないのです。
そういった資産を持たない人にとっては、有料老人ホームへの入居というのはかなりハードルの高いものといえます。
そこで、費用的な面で共同墓付きの老人ホームに入居が困難な人におすすめなのが、共同墓付きのサ高住(サービス付き高齢者住宅)です。
サ高住は、基本的に一般の賃貸住宅と同じですので、敷金として家賃の数ヶ月分を支払うことで入居が可能になります。
参考記事:サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)が高齢のおひとりさまに人気になっている理由
まだまだ共同墓付きのサ高住の数は多くありませんが、これから「おひとりさま」が増えて行く日本においてニーズがどんどん高まって行けば、身近な存在になっていく可能性は高いといえます。
住宅と切り離して葬儀やお墓を生前予約する方法もあります
有料老人ホームやサ高住はたくさんありますが、共同墓付きとなるとまだまだ数が限られてしまいます。
また、天涯孤独の人であっても持ち家があって、そこを終の棲家にしたいと考えている人も多いと思います。
そういった人の場合は、住むところと看取りやお墓に関することを分けて考える必要があります。
身寄りのない人を対象に、葬儀や永代供養墓の生前予約を受け付けている業者や団体はいくつもありますので、そういったところと契約をすることで自分が死んだあとの悩みは解決することが可能になります。
ただし、こうしたサービスを契約するためにはある程度のまとまった費用が必要になりますし、信頼性に問題のあるような団体も存在しますので、慎重に検討することが大切です。
当サイトでも、身元保証からお墓の生前予約までをワンストップで提供できる心託というサービスを紹介していますので、参考までにご覧になってください。