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納骨堂って何? 従来のお墓との違いを解説

納骨堂って何? 従来のお墓との違いを解説

日本における埋葬は、お寺の檀家となって先祖代々のお墓に入るのが一般的でした。しかし、近年ではさまざまな事情によって、他の埋葬形態を選ぶケースも増えています。その1つが納骨堂です。納骨堂はどのようなもので、なぜ注目を集めているのでしょうか。ここでは、納骨堂と従来のお墓の違いを解説します。

納骨堂と従来のお墓の違い1:遺骨を屋内に収蔵する

納骨堂は、遺骨を収蔵するための建物です。内部には棚やロッカーが並んでおり、その中に骨壺を安置することでお墓とします。合祀墓タイプの納骨堂もありますが、基本的には1人につき1つの収蔵スペースが割り当てられるので、区別がつかなくなることはありません。従来型と同じく、お墓参りをすることもお経を上げてもらうこともできます。

そして、墓石を使用しない関係上、納骨堂はとても省スペースです。大都市の真ん中にも作ることができ、実際に東京には9階建ての納骨堂が存在しています。墓地用の土地が不足していて、地価も高くなりがちが都会であるほど有効というわけです。土地の狭い日本においては、とても合理的な埋葬方法だといえるでしょう。

なお、納骨堂は誰でも自由に運営していいわけではありません。何しろ遺骨を収蔵しておく場所ですから、運営するには都道府県知事の許可が必要なのです。この許可は墓地の運営許可とはまた別物なので、納骨堂を利用する時はきちんと許可を得ているのかを確認しましょう。

納骨堂と従来のお墓の違い2:継承が不要

納骨堂には、従来の墓との大きな違いがもう1つあります。それは、永代供養が基本なので継承を必要としない点です。従来のお墓は代々受け継がれ、子孫が責任を持って管理していくのが普通でした。しかし、少子高齢化が進む日本ではお墓の維持管理の負担が大きくなり、そもそも継承者がいないという状況も増えてきたのです。

納骨堂なら、清掃や管理はすべて運営会社が行なってくれます。仕事が忙しくてなかなかお墓参りに行けなくても、お墓を荒廃させずにすむわけです。たとえ継承者がいなくなったとしても、無縁墓になってしまうことはありません。現に継承者がいない人はもちろん、子孫に管理の負担をかけたくない人にもおすすめです。

ただし、納骨堂だからといって永久に遺骨を収蔵できるわけではありません。大抵は、十三回忌や三十三回忌などを節目として、合祀墓型の収蔵スペースに移されます。こうなると個人を区別できず、遺骨を取り出すことも不可能になるのです。追加料金を支払えば個別の収蔵スペースを確保し続けることは可能ですから、期限が近づいたら検討しましょう。

納骨堂と従来のお墓の違い3:とても安価

納骨堂は墓地を借りる必要がなく、墓石を購入する必要もありません。そのため、従来のお墓に比べて非常に安価です。従来のお墓が総額で150万円~300万円ほどかかるのに対し、納骨堂は安ければ50万円程度で利用できてしまいます(33回忌までの永代供養付き)。経済的に余裕がない人でも利用できるのは大きなメリットです。

もちろん、すべての納骨堂が安価なわけではありません。納骨堂には、最小限のスペースに骨壷のみを収めるものもあれば、小型の墓石や位牌が設置してあるもの、仏壇や霊廟のような豪華なものまで、さまざまなタイプがあるからです。管理の負担がないとはいえ、結果的に割高になってしまわないか検討する必要があるでしょう。

なお、納骨堂の使用料の支払い方は、大きく2つに分けられます。総額を一括で支払ってしまうタイプと、最初は納骨料だけ払って毎年管理費用を払っていくタイプです。後者の場合、管理費用の支払いをやめた段階で、合祀墓に移されることになります。予算に応じて適切な方を選んでください。

納骨堂と従来のお墓の違い4:宗教・宗派を問わない

従来の墓地の多くは、お寺が管理運営しているものでした。そのため、原則的にはお寺の檀家にならなければ墓地を利用できなかったのです。お寺との関係にも気を使う必要がありました。特定の宗教や宗派を信仰していない人にとっては、少々面倒な話ですよね。

一方で納骨堂は、宗教・宗派を問わず利用できるケースが大半です。管理しているのがお寺である場合はあるものの、それでも宗教・宗派に関係なく利用できる納骨堂が多いのです。仏教徒であろうとキリスト教徒であろうと、無宗教であろうと構いません。従来のお墓に比べ、とても気軽に利用することができます。

もちろん、「宗教・宗派を問わないから、宗教に関係する行為ができない」というわけではありません。お坊さんを呼んでお経を上げてもらうことも可能です。非常に自由度の高いお墓だといえるでしょう。

納骨堂と従来のお墓の違い5:お墓参りの方法の差

納骨堂は、お墓参りの方法も従来のお墓とは少し異なります。まず、建物の中にある関係上、ロウソクに火を灯したり線香を焚いたりすることができません(例外あり)。食べ物やお花などのお供え物ができないケースも多く、電子線香や造花で対応しています。これは防火や衛生の都合でもありますし、単純にお供え用のスペースがないからでもあるでしょう。

また、お墓参りで気になるのが天気です。土砂降りの中で傘を差しながら手を合わせるのは、流石に避けたいですよね。納骨堂は天気を気にする必要がありませんから、1年中いつでもお参りすることができます。

さらに、段差だらけで歩きにくいことも多い屋外の墓地と違い、とても歩きやすいのもメリットです。街中にある納骨堂なら交通の便もよく、高齢者でも気軽にお墓参りに行けるでしょう。仕事帰りや買い物の途中に立ち寄るのもおすすめです。

まとめ:納骨堂には多くのメリットがある

納骨堂は、従来のお墓が抱えていた問題点の多くを解決できるため、今後も普及していくと考えられます。お墓の維持管理に困っている時や、入るお墓が見つからない時は、納骨堂を選択肢に入れてみましょう。もちろん、特に問題がなければ従来型のお墓を使い続けても構いません。十分に比較検討した上で、最も理想的なお墓を選んでください。

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