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お墓参りの作法・マナーを解説。少しの注意で正しく供養

お墓参りの作法・マナーを解説。少しの注意で正しく供養

お墓参りは、いつも何となく行っている人も少なくないと思われます。しかし、お墓参りには一定の作法があることをご存知でしょうか。それは古くからの風習であり、周囲に迷惑をかけないためのマナーでもあります。

作法を守れば、より充実したお墓参りができることは間違いありません。ここでは、お墓参りの基本的な作法・マナーを解説します。

お墓参りには厳密な作法はないが、最低限の意識はすべき

お墓参りの目的は、先祖・故人へあいさつや近況報告を行い、感謝の気持ちを伝えることです。そのため、厳密に決められた作法はありません。時期・服装・手順などにこだわる必要もなく、買い物の途中で立ち寄って手を合わせてもいいのです。むしろ、気軽に参拝することこそが最大の作法ともいえます。

とはいえ、墓地は多くの方が集まる場所です。故人を弔うという目的から見ても、あまりに非常識な服装や行いは推奨されません。また、お墓参りに適した時期や、古くから受け継がれてきた作法があるのも確かです。これらのマナー・作法を守れば、より穏やかな心でお墓参りを行い、故人を弔うことができるでしょう。

お彼岸やお盆のお墓参りは忘れずに。時間は日中が適切

お墓参りはいつ行っても構いませんが、より適したタイミングがあります。以下のような時期には、積極的にお墓参りを行いましょう。

お彼岸とお盆

春・秋のお彼岸と夏のお盆は、お墓参りに最適な時期です。これらの時期は、ご先祖様が死後の世界から戻ってくるとされており、直接感謝の気持ちを伝えることができます。祝日やお盆休みのおかげで時間も確保しやすいため、親族そろってお墓参りに行くといいでしょう。

人生の節目

進学、就職、結婚、引っ越し、家の新築など、人生の節目にはお墓参りをすることが望まれます。近況をご先祖に報告して幸運を祈り、自らも心機一転を図ってください。

年忌法要、月命日

一周忌や三回忌といった年忌法要は、お墓参りとセットで行います。仏教徒なら、お坊さんをお呼びしてお経を上げてもらいましょう。毎月1回はお墓参りをしたいなら、故人の亡くなった日を忘れないよう、月命日に行うのがおすすめです。

夜間よりも日中

お墓参りは、日中に行うことが推奨されます。夕方で閉まってしまう墓地が多いのはもちろんですが、夜間にお墓でうろうろしていると、不審者と間違われる可能性があるからです。特に古い墓地は足元が悪く、暗闇の中では転倒のおそれもあるため、できる限り日没までにすませましょう。

お墓参りは控えめな服装で。持ち物は事前にそろえること

お墓参りに行く時は、準備が大切です。服装と持ち物の2点に分けて考えてみましょう。

服装

平常のお墓参りであれば、普段着で十分です。派手な服装や露出の多い服装を避け、黒、茶色、灰色、ベージュといった控えめな色を中心にすれば、何でも構いません。お墓の大掃除をするなら、動きやすく汚れてもいい服を着ていきましょう。年忌法要の場合は、お葬式などと同様に喪服やブラックフォーマルを着用してください。

持ち物

お墓に到着してから「あっ、ライターがない!」などと慌てた経験のある人は多いのではないでしょうか。大規模な霊園なら売店が併設されていることもありますが、必要なものはしっかり事前にそろえておきましょう。基本的な持ち物は以下の通りです。

清掃関連 手桶(バケツ)、柄杓、スポンジ、雑巾、ほうき、ちりとり、ゴミ袋
お祈り関連 数珠、ロウソク、線香、ライター、マッチ
供物関連 お菓子、飲み物、故人の趣味の品、半紙(敷き紙)

お墓参りは静謐・清潔に行い、ゴミと供物は持ち帰る

お墓参りでは、マナーやTPOに配慮しないと、他の参拝者や管理者に迷惑をかけてしまうこともあります。以下の点に注意してください。

お墓参りは静かに行う

墓地は亡くなった人が静かに眠る場所であり、多くの参拝者も訪れます。大声で話したり走り回ったりして、騒がしくしないように心がけましょう。また、他家のお墓を汚したり傷つけたりしないように注意してください。清掃中に隣のお墓を汚してしまったら、そちらもきれいにしておくべきです。

ゴミや供物は持ち帰る

ゴミ清掃中に出たゴミや掃除道具などは、持ち帰るのが当然です。また、供物の食べ物や飲み物は放置すると腐敗し、カラスや虫などがたかる原因にもなります。必ず持ち帰り、お下がりとしてありがたくいただきましょう。花は基本的に置いていって構いません。

なお、「故人が好きだったから」といってお酒などを墓石にかける人もいますが、これも推奨されない行為です。墓石の劣化を早め、汚れの原因にもなります。どうしてもかけたい場合は、必ず水で洗い流しましょう。

お墓にふさわしくない花は避ける

お墓にお供えする花に決まりはありませんが、一般的に以下の花は避けるべきとされています。

トゲや毒のある花 単純にイメージが悪いため
ツル植物 自力で立てない印象を与えるため
匂いのきつい花 墓地の雰囲気を損なうため
ボタンやユリ 花が丸ごと落ち、首が落ちる様子を連想させるため

もちろん、これらはあくまでもイメージの問題です。故人がボタンやユリを好んだというのなら、お供えしても一向に構いません。

宗派の作法は守るべき?

お墓参りの作法には、線香の置き方やお経など、宗派による細かい違いがあります。可能なら埋葬されている方の宗派に合わせるべきですが、わからなければ静かに手を合わせるだけでも構いません。心をこめてお祈りすることが大切です。

墓地のルールに従う

墓地によっては、火を使えなかったり供物を置けなかったりする場合があります。墓地のルールは法律に次いで優先しなければならないので、わからないことがあれば管理事務所に確認してください。

お墓参りの基本はあいさつ→清掃→お祈り

作法を理解し準備を整えたら、さっそくお墓参りに行きましょう。基本的な流れは以下を参考にしてください。

  1. 管理事務所や住職にあいさつする。お寺なら御本尊へのお参りも行う。
  2. 手桶やバケツに水をくみ、合掌してから掃除を始める。
  3. 草むしりを行い、墓石の汚れや苔を落とす。枯れた花やゴミは回収する。
  4. 花立てに生花を生け、供物を置き、ロウソクと線香に火をつける。
  5. 数珠を手にかけて合掌し、お祈りする。
  6. 供物とゴミを回収し、問題がないことを確認して帰宅する。

なお、1人1人順番にお祈りする場合は、故人と縁の深い方から行うのがマナーです。他の参拝者やお寺の方とすれ違ったら、あいさつも忘れないようにしてください。

まとめ:基本的な作法を守り、心をこめてお墓参りをしよう

お墓参りのマナーや作法は、あくまでも最低限守るべきものです。詳しい作法を知らなくても、清掃やお祈りを1つ1つ丁寧に行えば、それが何よりの供養となります。お墓参りの目的をしっかりと意識し、故人を偲ぶ気持ちを大切にしてください。

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