おひとりさまの終活

おひとりさまが亡くなったあと無縁仏にならないためにはどうすべきか?

自分が亡くなったあとに、葬儀やお墓はどうなるのか不安に感じているおひとりさまも多いことでしょう。

家族や親族などとの接点がまったくなくなってしまった1人暮らしの人にとっては、深刻な問題であるに違いありません。

もちろん、まったく身寄りのない人であっても、亡くなったあとにそのまま放置されるというようなことはありません。

自治体によって火葬されたあとに、最終的には無縁仏として合祀されることになります。

身寄りのないおひとりさまが亡くなったあとの流れ

身寄りのないおひとりさまがなくなってしまったときの流れを簡単に説明してみたいと思います。

まず、亡くなっていることを確認した人が、警察に連絡をします。

その後、警察で身元などを確認したあと、事件性がないと判断すれば市区町村長に連絡を入れます。

連絡を受けた市区町村では、戸籍をもとに親族などを探すことになります。

親族が見つかるまでのあいだ、遺体は警察で保管されます。

もし親族が見つからなかったり、親族がいても遺体の受け取りを拒否したりした場合には、代わりに市区町村長が死亡届を出すことになります。

そして、市区町村と契約をしている葬儀社が警察から遺体を引き取って、火葬が行われます。

葬儀社への費用は原則として本人負担となりますので、亡くなった方の財産の中から徴収されることになります。

行われるのは火葬のみで、読経などは行われませんので、費用の相場としては10万円~20万円程度になります。

もし、財産がまったくないような方の場合は、それらの費用は公費でまかなわれることになります。

火葬された遺骨は無縁仏として供養されることになりますが、あとで親族などが現れることもあるので、すぐに納骨はせずに数年間保管をしておきます。

その後、最終的には自治体が管理している無縁墓に合祀されることになります。

無縁墓は、一般のお墓のように遺骨が骨壺に入った形で仕分けされていません。

合祀されると、他の遺骨と一緒に混ざってしまい、見分けがつかなくなってしまいます。

仮に合祀されてしまったあとに身内の人が遺骨を引き取りに来たとしても、どの遺骨が故人のものだか分からないために、引き渡しは不可能になってしまいます。

最近では無縁仏が増えてきていることもあり、自治体によっては遺骨の保管年数を短縮したり、散骨をしたりするケースも多くなっているようです。

血縁者と連絡が取れても遺体や遺骨を取りに来ない人が増えています

一人暮らしで亡くなって無縁仏になるのは、身寄りのない天涯孤独の人ばかりではありません。

配偶者や子どもがいるにもかかわらず、亡くなったあとに市区町村から連絡をしても遺体や遺骨を引き取りに来ない人が最近は増えているのだそうです。

籍は入っていてもずっと別居中だった夫婦の片方が亡くなったり、子どもと何年も音信不通状態が続いていたりするようなケースです。

このように、家族がいても葬儀を行わず、遺骨も引き取らず、お墓も作らないことを、業界では「0(ゼロ)葬」などと呼んでいるようです。

亡くなったあとに無縁仏になってしまう可能性があるのは、身寄りのないおひとりさまばかりではなく、家族のある人でさえも、そうなってしまう可能性があるということを知っておくべきです。

そういった意味では、日本という国が一億総おひとりさま化しつつあるといっても過言ではないかも知れません。

亡くなったあとに無縁仏にならないためにやっておくべきこと

無縁仏となってしまっても、別に気にしないというおひとりさまも、もちろんいるでしょう。

しかし、その一方で、おひとりさまであっても死後は誰かに供養してもらいたいと考える人や、極楽浄土にいくために供養してほしいと考える信心深い人もいるでしょう。

そういった考えのおひとりさまが、無縁仏にならないためにはどうしたらいいのでしょうか?

自分の葬儀をあらかじめ生前予約をしておく

自分の葬儀を、生きている間に予約をする、いわゆる「生前予約」を受け付けている葬儀社が増えてきています。

そうした業者が増えてきた背景には、核家族化が進んだことや親戚などとの関係が希薄になっていることなどがあります。

また、生涯を独身で過ごすおひとりさまが増えてきたことも、理由の1つになっています。

ただ、こうした自分の葬儀の生前予約をする場合、自分が亡くなったあとのことを予約するわけですので、契約をした業者が確実に葬儀を行ってくれたかどうかを自分では確認できないという問題点があります。

そこで、葬儀の生前予約をしたときには、遺言・公正証書などの形で契約内容が第三者にわかるような形で残しておく必要があります。

葬儀から納骨までをすべて行ってくれる喪主代行サービス

自分の葬儀を生前予約しても、葬儀を取り仕切ってくれる人が誰もいなくては意味がありません。

そのため、身寄りのないおひとりさまが生前予約するときには、喪主代行サービスも含めて契約をするのが普通です。

喪主代行サービスの契約が含まれていれば、遺体の引き取りから火葬の立ち会い、納骨まですべてを業者が行ってくれます。

もちろん、僧侶による読経をしてもらったり、戒名などを授けてもらったりする契約にすることも可能です。

合祀ではなく個別に供養をしてもらえる永代供養墓

自分の葬儀を生前予約するときには、永代供養墓もセットで契約する必要があります。

永代供養墓であれば、無縁墓のように他の遺骨と合祀されることもなく、遺骨は個別に管理されます。

そして、三十三回忌までの供養をしっかりとしてもらったあとに、他の遺骨と合祀になるのが一般的です。

永代供養墓の場合、墓地の管理費なども発生しないのが普通ですし、供養の際にも別途でお布施などが必要になることもありません。

まさに、身寄りのないおひとりさま向けのお墓ということがいえるでしょう。

他の遺骨との合祀が嫌な人は散骨の生前予約という選択肢もあります

無縁仏となって他の遺骨といっしょに合祀されてしまうは嫌だと考えるおひとりさまの選択肢の1つに、散骨の生前予約があります。

散骨というのは、遺骨を粉状にして山や海にまく方法です。

散骨の生前予約であれば、一般的な葬儀の生前予約にくらべて費用的にもだいぶ安くなります。

一般的な生前予約の場合ですと、安くても50万円前後の費用がかかることになりますが、散骨の生前予約であれば10万円以下の費用でサービスを提供しているところも少なくありません。

散骨というのは、まだ一般的ではありませんが、自分が亡くなったあとのことが心配なおひとりさまは、こうした散骨の生前予約も選択肢の1つに入れておくといいかも知れません。

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