1人暮らしのさみしさから、犬や猫などのペットを飼ってみようと考えているおひとりさまも多いことでしょう。
おひとりさまにとっては、ペットは家族の一員であり、ペットと暮らすことで日々の暮らしが癒されるものになるに違いありません。
しかしその一方で、自分に万が一のことがあったときのことを考えて、ペットを飼うことを躊躇しているおひとりさまも少なくないでしょう。
「もし自分が長期入院をしてしまったら?」
「自分がペットよりも先に死んでしまったら?」
そんなことを考えると、ペットを飼うことが不安になってしまうに違いありません。
ここでは、おひとりさまとペットの終活について考えてみたいと思います。
犬や猫などのペットは思った以上に長生きします
特に、60代以上のおひとりさまがペットを飼う際に考えなければいけないのは、思った以上に犬や猫は長生きをするということです。
犬の平均寿命は12歳~16歳程度といわれていますが、20歳以上生きる犬も珍しくありません。
ちなみに、ギネス記録に乗っている犬の長寿記録は29歳4ヵ月です。
猫の平均寿命も犬とほぼ同じかやや長く、15歳前後まで生きるのが一般的です。
猫の長寿ギネス記録は、犬の記録にくらべて9歳も長く、なんと38歳だそうです。
もしこのギネス記録の猫を飼い始めたときの飼い主の年齢が60歳だったとしたら、猫が亡くなるときには98歳になってしまいます。
普通に、人間の方が先に死んでしまいそうですね。
このように、犬や猫というのは思った以上に長生きをするために、おひとりさまが高齢になってからペットを飼うというのは、かなりリスクが高いということになります。
自分が何歳になるまでペットを散歩に連れていけるかを考えてみる
ペットの中でも、犬を飼う場合には散歩は欠かせません。
犬を飼いたいけれども、散歩に連れて行くのが大変なので躊躇しているという人も多いことでしょう。
犬を散歩に連れて行くためには、自分自身の健康が万全な状態でなくてはなりません。
いつまで自分が健康でいられるかは分かりませんが、日本人の健康寿命というのは意外に短いというのをご存知でしょうか?
日本人の2017年度の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳でしたが、健康寿命に関しては男性が72.14歳、女性が74.79歳にすぎません。
健康寿命というのは「平均寿命から日常的・継続的な医療・介護に依存して生きる期間を除いた期間」とされています。
つまり、自分自身で自立して健康に生きられる期間ということになります。
日本人の健康寿命が男性72.14歳、女性74.79歳ということは、60代で犬を飼い始めた場合、途中で犬を散歩に連れていけなくなってしまう可能性が十分にあるわけです。
ペットも老後は介護が必要になります
最近は、高齢の方が自分の配偶者の介護をするという、いわゆる「老老介護」の問題がクローズアップされています。
しかし、「老老介護」の問題は、人間だけが対象になるとは限りません。
ペットも歳を取れば、人間と同じように介護が必要になってきます。
犬や猫も歳をとれば、目が見えなくなってきたり耳が遠くなったりしますし、認知機能も衰えてきます。
おひとりさまが高齢になってからペットを飼うときには、自分が年老いたペットの介護をすることができるのかどうかという点を、しっかりと理解しておく必要があります。
一人暮らしの自分が入院をしてしまったときのペットの面倒を誰がみる?
ペットを飼っているおひとりさまが、常に頭に入れておかなければならないことは、もし自分が入院をしてしまったときに、誰がペットの面倒をみるかということです。
健康なうちは、自分が入院をすることになるなんて考えもしないでしょうが、人間である以上、重い病気にかかってしまったり、事故で大けがをしてしまったりという可能性は常にあります。
特に重い病気にかかる確率は、自分が歳をとるにつれてどんどん高くなっていきます。
入院といっても、病状がそれほど重くなく、入院の手続きまでにある程度の余裕がある場合には、ペットホテルや動物病院などにあずかってもらうという選択肢もあるでしょう。
しかし、緊急で入院をしなければならなくなってしまったり、自分の意思を人に伝えられないような状況になってしまったりしたときには、ペットは自分の部屋に取り残されてしまうことになります。
おひとりさまが安心してペットを飼うにはどうすればいいのか?
1人暮らしのさみしさを癒すために、ペットを飼いたいと思っているおひとりさまが、安心してペットを飼うにはどうすればいいのでしょうか?
具体的にいくつかの方法を考えてみたいと思います。
「家にペットがいますカード」をつねに持参するようにする
「家にペットがいますカード」というのをご存知でしょうか?
これは、自分が外出中などに急病や事故などの万が一のことがあったときに、家にペットがいることを第三者に伝えるためのカードです。
このカードを財布やカードケースなどに入れて持参していれば、いざというときにペットを飼っているということを誰かに気がついてもらえる可能性があるわけです。
「家にペットがいますカード」には、特に決まった形式はありませんが、ホームページでテンプレートを提供しているところがありますので、探してみるといいでしょう。
参考サイト:ペットを飼っているなら用意しておきたい、「家にペットがいますカード」
「家にペットがいますカード」には、ペットの名前や生年月日、緊急連絡先、かかりつけの動物病院、食事、トイレなどに関することを記載しておきます。
身寄りのないおひとりさまの場合、緊急連絡先を誰にしたらいいか悩むと思いますが、とりあえずかかりつけの動物病院などを記載しておけばいいでしょう。
もちろん、動物病院には事前に了承を得るようにしなければなりません。
勝手に記載をしてしまうと、動物病院に迷惑をかけてしまうことになりかねません。
ペットのための信託契約をする方法もあります
自分に万が一のことがあってペットを飼うことができなくなってしまったときに、飼い主に変わってペットの面倒をみてくれるサービスがあります。
これは、ペットの信託契約と呼ばれているサービスで、飼い主が病気や怪我で入院をしてしまったり、死亡してしまったりしたときに、残されたペットが不自由しないで暮らしていけるようにするための契約です。
分かりやすくいえば、ペットのための生命保険のようなものです。
一般の生命保険の受取人をペットにすることはできませんが、このペットのための信託契約を結ぶことで、自分に何かあったときにペットが生涯にわたって暮らしていくためのお金を残すことができるのです。
もちろん、ただ単にお金を残しても、動物はお金を使うことはできませんので意味がありません。
ペットのための信託サービスを提供している団体では、飼い主に万が一のことがあったときに、新しい飼い主を捜してくれます。
そして、その新しい飼い主に飼育費などを渡すことで、ペットが幸せな生涯を送ることができるシステムになっています。
本来であれば、自分が亡くなったあとの財産は法定相続人が受け取ることになりますが、信託契約をしておくことで、ペットのための飼育費用はしっかりと確保することができるわけです。
参考サイト:ペットのための信託契約