生前整理

実家の生前整理のコツを紹介!親の説得方法と進め方

実家の生前整理のコツを紹介!親の説得方法と進め方

久しぶりに実家へ帰ってみたところ、家中に物が溢れていてびっくりした経験はありませんか? 

これでは親も生活しにくく、遺品整理の負担も大きくなるため、早めに生前整理を行う必要があります。
どうすれば親にその気になってもらえ、効率よく生前整理を進められるのでしょうか。
ここでは、実家で生前整理を行う際のコツを紹介します。

実家の生前整理のコツ1:なぜ行うべきなのか?

生前整理は、死後に備えてあらかじめ持ち物を整理しておくことをいいます。

親と同居している場合であっても重要ですが、自分が実家を出て親は1人暮らしをしている場合、
より積極的に取り組まなければなりません。実家の生前整理を行う2つの理由を知っておきましょう。

親に豊かな老後を送ってもらうため

高齢になった親は身体能力が衰え、昔のようには体が動かせなくなります。
それにも関わらず家の中が散らかっていると、移動が大変になるだけではなく、つまづいて大怪我をしかねません。

そのまま寝たきりになってしまうおそれもあるので、余計なものがなく整理整頓された、生活しやすい家にしてあげる必要があります。

特に1人暮らしの高齢者は、体の衰えによって家事や掃除が満足にできなくなり、実家をゴミ屋敷にしてしまうことが珍しくありません。
自分自身の世話さえも十分にできなくなった状態をセルフネグレクト(自己放任)といいます。
このような悲劇を防ぎ、豊かな老後を送ってもらうためにも、実家の生前整理に取り組むべきなのです。

遺品整理や相続の負担を減らすため

親が亡くなったあと、家族は遺品整理を行う必要があります。
親が実家で1人暮らしをしていたのなら、当然ながら家一軒分の遺品整理を行わなければなりません。

家中にあるものを整理整頓するのは、大変な労力がかかります。
あらかじめ生前整理をしておけば、遺品整理の負担を大きく軽減でき、実家を手付かずで放置してしまう事態も防げるのです。

また、遺産相続を行う際には、親の財産をすべて把握しなければなりません。
散らかった家の中から有価証券などの貴重品を探し出すのは、片付け以上に大変です。

生前整理を行って家の中をスッキリさせれば、探し物もしやすくなり、貴重品の保管場所を決めておくこともできます。つまり、相続の負担が軽減できるのです。

実家の生前整理のコツ2:親をその気にさせる

生前整理は、親と自分双方のために行うものです。
そのため、生前整理に取り組む際には、親の協力を得なければなりません。
親をその気にさせるためにも、以下のポイントに注目してみましょう。

早いうちから働きかける

生前整理は、親がまだ元気なうちから行うのが重要です。
体が衰えてからでは、荷物の持ち運びなども簡単にできませんからね。

また、生前整理の必要性を説明したあと、親がその気になるまで時間がかかるケースもあるでしょう。親の定年退職や入院などのタイミングに合わせて、早い段階で生前整理の誘いをかけてください。

親の安全・安心のためだと説明する

「遺品整理の負担軽減のため」と説明されても、「まあ、自分が死んだあとのことだから」と積極的にならない親もいると思われます。

そこで、遺品整理の誘いをかける際は、親の安全・安心のために行うのだという姿勢を重視してください。子供が自分を心配してくれていることがわかれば、親もきっと生前整理に前向きになってくれるはずです。

本やテレビ番組を利用する

最近は、少子高齢化に伴って終活が注目され、関連書籍も多数出版されています。
雑誌やテレビ番組で特集が組まれていることも多く、情報を知る機会はたくさんあるのです。

これらのメディアを使い、「最近こういうのが流行ってるみたいだよ」「友達に勧められたんだ」などと説明すれば、親が注目してくれる可能性も高まります。

自分の持ち物を片付ける

大量の私物を部屋に残したまま、実家を出てしまった人も多いのではないでしょうか。
親に生前整理を勧めておきながら、自分の持ち物を放置していては説得力がありませんよね。

まずは率先して、自分の部屋の掃除に取りかかりましょう。積極的な子供の姿を見れば、親も「自分もやらなきゃ」という気持ちになってくれるはずです。

兄弟姉妹や親族を巻き込む

兄妹姉妹がいる人は、ぜひ一致団結して生前整理に取り組んでください。
子供たちがそろって生前整理を勧めれば、親もその気になってくれる可能性が高くなります。

また、家族みんなで協力すれば、整理整頓の負担も減らせますよね。
すでに生前整理に取り組んでいる親族や友人がいるなら、その人たちの力も借りてみましょう。

実家の生前整理のコツ3:効率よく進めるポイント

親の同意が得られたら、いよいよ実家の生前整理に取りかかります。
とはいえ、あまりに物が多く、どこから手をつけていいのかわからない場合も多いでしょう。

何も考えずに手を出すと、誤って大切なものを捨ててしまったり、かえって家の中が散らかったりするかもしれません。効率よく生前整理を進めるためのポイントを紹介しましょう。

コミュニケーションを大切にする

最も大切なのは、親とコミュニケーションを取りながら生前整理を進めることです。
生前整理は、親と自分両方のために行うのですから、独りよがりになってはいけません。

「これは捨てていいの?」「これはどこにしまうの?」「◯◯ってどこにあったっけ?」。
このようなことを遠慮なく話しながら行えば、効率は大きくアップします。

また、親と話をすること自体が、終活においては非常に重要です。
普段離れて暮らしている人なら、積もる話もいろいろあるでしょう。
近況報告や思い出話をすれば、心が豊かになり親子の仲も深まります。

今のうちに打ち明けておきたいことや、相続に関する重要な話が出てくる可能性もありますから、積極的に話しかけてください。

部屋単位で行う

一軒家の生前整理を行う場合、あちこちに手をつけていては収拾がつかなくなります。
そこで、部屋を1つ1つ順番に片付けていきましょう。

「今日はこの部屋をやる」と決めたら、まずはその部屋にあるものをすべて出し、広いスペースに並べてください。
何があるのかを把握することで、必要なものと不要なものを仕分けるのも簡単になります。

いらないものから処分する

実家にあるものは、「絶対に必要なもの」「必要なのかどうかわからないもの」「明らかに不要なもの」の3種類に分けられます。このうち、明らかに不要なものは積極的に処分してしまいましょう。
総量が大きく減れば、残りの整理もやりやすくなりますし、親にも生前整理の有効性が伝わります。

貴重品の保管場所を決める

遺産相続の際に家族が最も困るのは、「貴重品がどこにあるのかわからない」という状況です。

生前整理を行う際には、貴重品の保管場所を決めておき、そこに預金通帳や有価証券などを保管するようにしましょう。
こうすれば、出てきた貴重品をうっかり捨ててしまう可能性も低くなり、遺産相続もスムーズに行えます。

引き取れるものは引き取る

生前整理というと、どうしても「不用品を捨てる」というイメージを抱きがちですが、貴重品以外にも使えるものはたくさんあるはずです。

服や書籍、日用品など、自分で使えそうなものは積極的に引き取ってください。親としても、子供や孫が使うのなら、喜んで譲ってくれるでしょう。

エンディングノートを活用する

終活の必須アイテムといっていいのがエンディングノートです。
貴重品の保管場所や、親と話していて気になったポイントについては、エンディングノートに書き留めておくといいでしょう。
片付けた翌日に「あれってどこにしまったっけ?」と慌ててしまうことは珍しくないので、ノートを積極的に活用してください。

遺品整理業者を利用する

生前整理を進めたいけれど、自分は仕事の都合が合わず、親も体力的な問題で難しいケースはよくあります。そんな時は、遺品整理・生前整理を専門とする業者に相談してみましょう。

自分たちに代わって生前整理を進めてくれるため、忙しい時でも確実に実家を整理できます。実家が遠く、何度も通うのが難しい場合にもおすすめです。

実家の生前整理のコツ4:行う際の注意点

生前整理は、適当に行っても成功するわけではありません。うまくいかなかったどころか、親との関係が悪化してしまうケースも実際に発生しています。生前整理を成功させるためにも、以下の注意点を理解しておきましょう。

ものを処分しすぎない

生前整理が遺品整理と決定的に違う点は、片付けたあともその家で親が生活しなければならないことです。
調子に乗ってものを処分しすぎると、生活に必要なものまで誤って捨ててしまい、かえって親が苦労することになりかねません。
「迷ったら保留」を基本とし、最終的な判断は親に委ねるようにしてください。

親と一緒に行う

生前整理は、親と一緒に行うのが原則です。親にとっては、その後も生活を続ける家なのですから、勝手にいろいろなものを処分されては納得いかないでしょう。

親の外出中などに一気に生前整理を進めると、トラブルを招く可能性が高くなるわけです。自分の部屋の片付けなどを除き、できる限り親子で協力して生前整理を行ってください。

言葉遣いに気をつける

自分にとっては不要品に見えても、親にとっては大切なものかもしれません。
「よくもまあ、ゴミばかり溜め込んだな」「こんなガラクタもう必要ないよね?」などといった乱暴な言葉遣いをすると、親の機嫌を損ね生前整理が中断されてしまうおそれがあります。
すべてのものを大切に扱い、丁寧な態度や言葉遣いを心がけましょう。

自分の都合は主張しない

生前整理において何を重視するかは人それぞれです。実際のところ、遺品整理の負担軽減が第一目的という人もいるでしょう。

しかし、それを何度も口に出してしまうと、「結局あんたの都合で整理をさせてるんじゃないの!」と親に怒られてしまう可能性があります。自分の都合は主張せず、親のことを第一に考えて整理を進めてください

完璧を目指さず、妥協点を見つける

生前整理の目的は、親の老後を豊かにし、遺品整理の負担を軽減することです。

実家を掃除すること自体が目的ではありません。「完璧にきれいにする」ことにこだわりすぎると、親と意見が合わずケンカに発展してしまう場合もあります。
親と相談して妥協点を探しつつ、気楽に生前整理を行いましょう。

実家を引き払えないか検討する

親が亡くなったあとの実家は、誰も住まないのであれば処分する必要があります。
状況によっては、先に実家を引き払い、親と同居した方がいいかもしれません。
親の体調の問題もありますから、本当に1人暮らしを続けるべきなのか、生前整理の前によく話し合いましょう。

まとめ:実家の生前整理を行い、親子一緒に幸せになろう

実家の生前整理は、やらなければと思っていてもつい後回しにしがちです。
親子そろって「まだまだ元気だから大丈夫」と考えてしまう場合もあるでしょう。
しかし、人生最後の時というのは、いつ訪れるかわかりません。

「まだ大丈夫」ではなく、元気なうちに始めることが重要なのです。早めに実家の生前整理を行い、親子一緒に幸せになりましょう。