生前整理

生前整理は終活をうまく進めるための有効な手段

生前整理は終活をうまく進めるための有効な手段

人は誰しも定年や還暦など人生の中で区切りとなる時期を迎えると、いずれ訪れる終末期を心残りがないように有意義に過ごすための準備を考えるようになるのではないでしょうか。そのような準備は「終活」と呼ばれ、昨今注目を集めています。

また、終活を成功させるための有効な手段の一つに「生前整理」がありますが、この記事では終活を成功させるための生前整理の実践方法について解説します。

終活および生前整理とは

終活および生前整理とは、具体的にはどのようなことを指すのでしょうか。それぞれ解説します。

終活とは

終活とは、人生の終末期、さらに言えば臨終を迎える時に向けての活動を指します。故人にとって、生きているうちにできるだけやり残すことがないように、やりたいことをリストアップし、死ぬまでに一つ一つ実行して行くというのも終活に含まれます。

また、自分の死後に残された家族が自分のことでなるべく負担を強いられないような準備をしておくことも終活の一部です。それは家族にできるだけ迷惑をかけたくないという配慮であり、故人にとって、実は一番に心残りとなる内容かもしれません。

このように終活を実践する動機には、まず「残された人生を有意義に過ごしたい」という自分の欲求と、「残された家族に自分のことでなるべく負担をかけさせたくない」という家族への配慮が挙げられます。

生前整理とは

生前整理は、終活を実践する動機として挙げられる「残された家族に自分のことでなるべく負担をかけさせたくない」という家族への配慮を、具体的に実現するための手段です。

国籍や戸籍、税金、住居、仕事、保険、家庭など人は生きているときには、さまざまな社会的なつながりの中で存在しています。ところが死後は、そのようなつながりを一つ一つ切って行く必要があり、そのための手続きが煩雑を極め残された家族に大きな負担を背負わせることになります。

そこで、本人が生きているうちにそのような手続きのための情報の整理をしておくことで、死後に家族への負担が軽減できるでしょう。

また、自分の周りにある日用品や趣味で集めたコレクター類、衣類、書籍類、絵画など、これから人生の終末期に向けて何が必要で不要かを仕分け、不要品を捨てる必要があります。残したものについても家族にとっても価値のあるものがどれで、死後は不要で捨てても構わない物がどれかなどを家族に伝えておく必要があるでしょう。

このように、生前整理をすることで、終末期に向けたこれからの人生を何の憂いもなくすっきりした気持ちで過ごし、死後に家族への負担も減らすことができます。

終活のための生前整理の具体的な実践方法

ここでは、終活のための生前整理について、その具体的な実践方法をご紹介します。

断捨離という考え方を取り入れる

実際に生前整理を行おうとしても、身の回りの品々を仕分けして行く段階で要、不要を判断することに迷いが生じて、不要品を決められないことがあるかもしれません。そんなときには、「断捨離」という考え方を取り入れるとよいでしょう。

断捨離は、物への執着から離れ心を軽くしていくことによって、シンプルでストレスのない生活スタイルを身につけて行くという考え方です。「迷ったら躊躇せずに捨てる」ということを念頭に、どんどん捨てて行けば捨てることへの葛藤も徐々に消えて行き、本当に必要なものだけを残すことができるでしょう。

自分の財産を把握し整理する

終活の中でも特に重要になるのが、財産管理です。財産は、不動産や貴金属類などプラスの財産と借金やローンなどマイナスの財産に分けられます。終活をやり始めた時点での自分の財産をしっかり把握し、終末期を迎えた時点で財産がマイナスになるようなことがないように解決策を講じる必要があるでしょう。

自分の死後に相続の問題で家族に苦労を強いることがないように、財産管理をしっかりと行うことも生前整理の重要な役割です。

家族に残したい形見分けの選別

財産以外でも、自分の死後に形見分けとして家族に残したいものを選別しておきましょう。形見分けの品は、家族の要望も聞き入れながら行った方がよいので、家族と一緒に選別するとよいでしょう。

エンディングノートの作成

「エンディングノート」は、終活の一環として実践した生前整理の内容を記し、自分の死後に家族が混乱しないようにする覚書です。例えば、銀行通帳や印鑑、家の権利書などの貴重品の保管場所や財産管理状況、形見分けが誰にどのように渡されるかなどを記します。

エンディングノートの存在は家族に伝えおく必要がありますが、エンディングノートには法的効力がないので、そこに記してある内容を根拠に相続関係を決めることはできないことは覚えておきましょう。

遺言書の作成

自分の財産を、誰にどのように相続させるかを法的効力のある形で明確に書き記した遺言書を残す必要があります。遺言書の作成は、正しい書式に則って行う必要があるので司法書士などの法律の専門家に相談するとよいでしょう。

まとめ

終活の一環として生前整理を実施することは、終活を目に見える形で具体化し効率的に進めながら自分の望む終末期を迎えるためにも有効な手段です。生前整理は、自分の死後に家族が混乱したり余計な負担を強いられたりしないためにも、体力があって頭もしっかりしている早い時期から行うことをおすすめします。