終活というのは、自分が亡くなったあとの葬儀の方法や財産に関することなどに関して、自分の希望を家族に伝えたり、家族が困らないようにしたりするための手段だと考えている人が多いことでしょう。
確かに終活にはそういった一面もありますが、それがすべてではありません。
終活をするということは、そのことによって、これまでの人生を振り返る一つのきっかけにもなるのです。
自分の人生を振り返る過程において、これまでの人生でやり残したことや、あらたにやってみたいことなどを、終活を通して見つけることが可能になります。
終活を通して、これからの人生を不安なく充実して過ごしていけるように、当サイトは微力ながらお手伝いさせていただきたいと考えております。
そもそも終活とは?
「しゅうかつ」といいますと、かつては就職活動を意味する「就活」を思い浮かべる人がほとんどだったと思います。
ところが最近では、「しゅうかつ」と聞いて「終活」を思い浮かべる人も多くなっています。
「終活」という言葉が最初に登場したのは2009年で、葬儀相談委員の市川愛さんが、週刊朝日のコラムのなかで使ったのが最初だといわれています。
終活の定義は、自分の終わり方を人任せにはしないで人生を前向きに生きるための活動ということになります。
その後、終活関連の書籍が多数出版されるようになり、「終活」という言葉もどんどん知名度を増していきました。
2012年には流行語大賞の10位以内にノミネートされるほどに、「終活」という言葉は知れわたるようになりました。
終活はどういった目的で行われるのでしょうか?
終活というと、どうしてもネガティブなイメージを持つ人もいることでしょう。
誰でも自分の人生が終わるときのことは考えたくないものです。
しかし、終活というのは単純に自分のお葬式のことや相続のことについて考えるだけのものではありません。
エンディングノートの作成などを通して、自分のことについて知らせたい人のことに思いをはせることによって、人とのつながりの大切さを再認識するための活動でもあるのです。
そういった活動を通して、いまをいかに生き生きと暮らしていくかということを考えるきっかけを作るための活動が、まさに終活であるといえます。
元気なときに家族に自分の思いを伝えるための手段としての終活
終活というのは、その活動を通していかにいまを生き生きとくらいしていくかということを考えるためのものですが、それと同時に自分の思いを伝えることで家族に迷惑をかけないための活動でもあります。
財産のことや葬儀のことなど、自分が元気なうちにしっかりとエンディングノートなどに記録を残しておくことによって、自分の考えや自分自身しか知らないことを確実に家族に伝えることができます。
自分がいなくなったあとに、残された家族が財産のことで争いをしたり、お墓の管理で苦労をしたりしないように、自分の考えを残してあげることも終活の大切な目的ということがいえます。
終活というのは、残していく人たちへの1つの愛情表現でもあるわけです。
終活では具体的に何をするのでしょうか?
いざ終活を始めようと思っても、何から手をつけていいのか分からない人もいることでしょう。
具体的な終活の進め方を簡単に説明してみたいと思います。
1.終活は自分の人生を子どものころから振り返ることから始める
終活にあたってまずやるべきことは、自分自身の人生を振り返ることになります。
子どものころの思い出や、人生を大きく変えた出来事、結婚して子育てをしたことや、仕事でやりとげたことなどを振り返っていきます。
こうして、これまでの人生を振り返ることによって、これからの人生をいきいきと暮らしていくためのヒントをつかむことができるのです。
2.今後のことや生き方についての方向性を決める
自分の人生を振り返ることができたら、次に今後のことについて考えます。
お葬式やお墓のこと、財産の処分についてのことなどを考えていきます。
どういったお葬式にしたいのか、お墓はどうしたいのか、自分の残した財産をどうしたいのかなどについて、具体的に考えていきます。
また、趣味のことやこれからライフワークとしてやっていきたいことなどを考えていくことも、終活をするうえでとても大切になります。
3.考えた情報を家族と共有するために記録に残していきます
自分の人生を振り返り、今後のことやさまざまな方向性について考えがまとまったら、それを家族などの自分以外の人と共有するために記録に残していきます。
終活における記録として知られているのがエンディングノートですが、それ以外にも遺言書や自分史などの形で残す方法もあります。
特に財産がらみのことに関しては、法的な強制力のある遺言書の形でしっかりと残しておく必要があります。
家族のいないおひとりさまのための終活
終活を考えなければならないのは、家族のある方ばかりではありません。
一人暮らしの、いわゆる「おひとりさま」と呼ばれる人たちにとっても、老後に考えるべきことはたくさんあります。
家族がいないだけに、健康への不安や財産問題などの悩みは、家族がある人にくらべてはるかに大きいに違いありません。
おひとりさまの場合、家族がいませんので終活で自分の意思や考え方を伝えるべき対象は第三者になります。
そのため、成年後見人制度や死後事務委任契約といったようなことについて、いろいろと知っておく必要があります。
そして、おひとりさまの終活にあたっては、一人暮らしの人の心が世間から孤立しないように考えていくこともとても大切になってきます。
墓じまいや実家の処分について考えるのも終活です
最近では、先祖代々のお墓を管理することが難しくなってしまったために、いわゆる「墓じまい」をする人も増えてきました。
自分がいなくなったあとに、子孫にお墓の管理で苦労をさせたくないという思いもあり、終活の一環として「墓じまい」を考える人が多くなっているようです。
つまり、お墓の問題は自分たちの代で解決したいと考えている人が増えているわけです。
「墓じまい」と一口にいっても、行政手続きや工事業者とのやり取りなど面倒なことも多いものです。
また、「墓じまい」をしたあとに、どうやってご先祖様を供養するのかも考えなければなりません。
そのため、事前にある程度の「墓じまい」に関する知識を終活として身に着けておく必要があるわけです。
終活で自分のお葬式やお墓のスタイルを決める人が増えています
自分のお葬式のスタイルにこだわる人も最近は多くなっているようです。
木の根元に遺骨を埋葬する樹木葬や、海に遺骨をまく散葬などです。
変わったところだと、お骨の一部をバルーンやロケットに乗せて宇宙まで運ぶ宇宙葬などもあります。
また、お墓もこれまでのような墓石を建てるタイプのものではなく、お寺などで管理をしているロッカー式やカード式の納骨堂にお骨を収めるといった形式のものも増えてきました。
墓石を建てる場合であっても、これまでのように個別に建てるのではなく、共同で1つの墓地に埋葬するタイプのお墓も増えてきているようです。
このように、自分の葬式やお墓をどういったものにするのかを考えることも、終活のカテゴリーに含めることができます。