すっかり定着した「終活」
子どもが家を巣立った、定年退職をした、配偶者に先立たれた、といった人生の節目を迎えたことや、周りの方が終活を始めたという話を聞くことをきっかけに終活に取り組んでみようとお考えになっている方もいるでしょう。
しかしいざ具体的に終活に取り組もうとしても何から始めればよいのかわからない、という方も多いではないでしょうか。
そのような方にはまずは「身の回りの整理」をおすすめします。ここでは、終活における身の回りの整理、生前整理について解説します。
終活で行う身の回りの整理「生前整理」とは?
終活とは、「人生の最期に向けて準備をするための活動」「今までの人生を振り返り整理することによってこれからの人生を前向きに生きるための活動」ですが、終活で行う身の回りの整理である生前整理はどのような目的で行うのでしょうか。
生前整理とは、自分が亡くなった後に残された家族の負担にならないように身の回りを整理することです。大まかに分けると下記の2点を整理します。
身の回りの物
人が亡くなると所有していた物は全て遺品となり、残された家族が後片付けをしなければいけません。衣服や家電、家具、食器、書籍、趣味などの収集品など・・
人が亡くなると大量の遺品が生まれます。
残された家族は不要な物の処分だけでもかなりの労力が必要となり、中には処分するかどうか迷う物もあるでしょう。肉体的にも精神的にも大きな負担となるはずです。
そういう状況を考慮し家族の負担を可能な限り減らすために自分の身の回りには本当に必要な物しか残さないようにして、不要な物は処分したり譲渡したりします。
財産
生前整理を行う対象は物だけではなく財産も含みます。
自身が亡くなった後に残された家族がトラブルに巻き込まれないように、また、相続で親族間で揉めないように負担をかけないためには、財産の状況を把握してどうしたいのかを考えなければいけません。
生前整理はご自身の財産の整理も含まれているとご理解ください。
生前整理と身辺整理の違い
生前整理と同様の意味合いを持つ整理に身辺整理がありますが、身辺整理は人生のライフイベントや心機一転したい時などに身の回りの整理を行う、という意味合いで使われます。
身辺整理も生前整理も整理する対象は同じですが、生前整理のほうがより残された家族のための整理かもしれません。
終活で行う生前整理のメリットとは
生前整理のメリットは、残された家族の負担を軽減することに加えご自身のためにもなります。
身の回りに不要な物がなくなると身軽になった気分になるので精神的にすっきりし、新たな気持ちでこれからの人生に向かい合うことができます。
前向きな人生を送るためにも生前整理は必要ですしいつから始めても遅くはないかもしれません。
終活で行う生前整理をスムーズに行うための準備
では、具体的な生前整理のやり方について説明します。まずは生前整理を行うために準備をしましょう.。以下の準備が必要となります。
財産のリストを作る
まずはご自身の財産がどのような状態か把握しましょう。
財産は預貯金、家や土地といった不動産、株式や債券などの有価証券、権利書、保険証書といったものや、骨董品、美術品、宝石、車といった「換金価値のあるもの」は全て対象になります。
リストを作れば存在を認識することによって誤って破棄してしまう、ということもなくなります。
この時、財産だけではなく借金やローンといった情報もリスト把握し、残された家族にできる限り迷惑をかけないようにしましょう。
処分してはいけない物は残す
生活必需品はもちろんのこと、形見分けしたい物はもちろんのこと、自身にとっては処分しても問題ないと考えていても家族にとっては大切な思い出の品もあるでしょう。
処分して後悔しないように、整理を行う時は家族の意向も確認してください。
自身の中で「残す物」「処分する物」の基準を作る
長年使用された家具や日用品、衣服などといった物や今まで収集してきた物など、処分するかどうかを迷う物は多いはずです。
しかし基本的に生前整理は「不要な物、使う予定のない物は処分する」ことです。
「一年以上使用しなかった物」や「サイズが合わない衣服」など、ご自身の中で残しておく物と処分する物の基準を作り、機械的に仕分けできるようにしましょう。
終活で行う生前整理の具体的方法
準備が完了したら生前整理を始めます。生前整理は非常に時間も労力もかかりますので、自分のペースで進めましょう。
財産の整理
財産のリストを元に整理できる物は整理しましょう。
例えば、使用頻度の低い銀行口座を解約する、家族に分けやすいように不動産を現金化する、などです。
相続や税金対策、遺言状については、弁護士や行政書士、司法書士といった法律家の専門家に相談しましょう。
不要な物を処分する
先述しましたが、生前整理は基本的に使わない物を処分することです。
「もったいない」「誰かが使うかもしれない」という気持ちは捨てて、不要品は思い切って処分していきましょう。不要品は多岐に渡るため、どこから処分するか迷われるかもしれませんが、まずは消耗品や小さい物(文房具や雑貨)などから始めることをおすすめします。
これらの品は思い入れも少ないため、躊躇なく処分できるからです。慣れてくれば徐々に大きな物の処分を行っていきましょう。
どうしても残すか処分するかで悩む物があれば一旦そういった物を一つの箱に入れて保管してください。一定期間(1年や2年)経ってから改めて処分するかどうかを改めて考えればよいのです。
デジタルデータの整理
現在はどの世代の方でもスマホやパソコンが生活の必需品であり活用されています。
利用していない(もしくは使用頻度の少ない)インターネットやメールサービスの解約、また、使用しているサービス、特に課金サービスやSNSの情報(IDやパスワード、クレジットカードの情報)はご自身に何かあった時に家族が情報を把握できるようにしましょう。
インターネットバンクの銀行名、口座番号、暗証番号等も同様です。
さらに、スマホやパソコンの中には家族に知られたくないデータや情報が入っていることがあれば、データはこの際削除してしまいましょう。
終活での生前整理を効率よく行う手段や方法とは?
生前整理は時間も労力も必要となりますが、スムーズに行うための方法があります。
プロに頼む
いざ生前整理を行うとしても身の回りにあまりにも物が多くてどうすればよいかわからない、という方には生前整理を行う専門家に依頼するのも手段のひとつです。
不用品回収業者、生前整理や遺品整理を専門にしている業者なども増えていますので相談してみるのもいいかもしれません。ただ、中には悪徳業者も存在しますので、サービスを受けるかどうかは慎重に検討して決断しましょう。
エンディングノートを活用する
エンディングノートは、自分が最期を迎えた時にどうしたいのかの意志、また周りの方に対してのメッセージを残すという目的のノートです。
遺言状とは異なり書式は決まっていませんので自由に記録することができます。
エンディングノートで遺品に対する自身の希望や財産に関する情報やデジタルデータの情報などの記録をしておけば、家族の負担はかなり軽減されるでしょう。
まとめ 終活での身の回りの整理はいつから始めればよいのか
終活における身の回りの整理 終活を始める第一歩としておすすめの生前整理を紹介しました。
生前整理の必要性とともに、終活における生前整理がとても労力が必要なものであるということがご理解いただけたのではないでしょうか?
終活での生前整理は、ご自身の体力に自信がなくなる前に、また、いつ自分の身に起こるかわからない「いざ」という時のために元気なうちから少しずつ始めていきましょう。