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終活で考えるべき「在宅医療」|そのメリットやポイントを解説

終活で考えるべき「在宅医療」|そのメリットやポイントを解説

現在、終活に取り組んでいる方が増えています。
終活では、人生の最期を迎えるにあたり今までの人生を振り返り、準備をすることです。

具体的には財産のことやご自身の葬儀、お墓の準備や意向を家族に伝える(もしくはエンディングノートなどに残す)ことが挙げられますが、考えなければいけないことの中には「自分の最期はどこで迎えたいのか」「延命処置をどうするか」さらに、「在宅医療を希望するか」という点があります。

終活を行う方で在宅医療を希望される方は多いでしょう。ここでは、在宅医療のメリットやデメリット、在宅医療を行う上でのポイントを説明します。

そもそも在宅医療とは?その意味と目的を解説

まず、在宅医療とは何なのか、について説明します。
在宅医療とは、医師や看護師や理学療法士といった医療従事者が、患者の自宅や入居している福祉施設などに訪問して医療活動を行うことです。在宅医療には「訪問診療」と「往診」とに分けられます。

訪問医療とは?

訪問診療とは、医療従事者が定期的に(かつ計画的に)患者の住まいを訪問し、診療、治療、薬の処方、療養上の指導を行います。

また、患者や家族の相談を受け、今までの病歴や現在の病状を把握し情報収集を行うと共に、今後患者がどのような治療を受けたいのかを、介護できる家族の状況や経済的な事情を詳細に確認しながら診療計画や診療スケジュールを立てていきます。

さらに、病状が急変したときには緊急訪問を行ったり入院の手配をするなど、状況に応じた対応を行います。24時間体制で在宅療養をサポートすることが訪問診療の特色です。

往診とは?

次に往診とは、医師などの医療従事者が「患者の要請を受けて」不定期に患者の住まいを訪問し診療や治療を行う在宅医療のことです。

通院できない患者に何か病状の変化があり、救急車を呼ぶほどでもない時にお世話になっている医者に来てもらいます。往診は基本的には「困った時に来てもらうこと」であるとご理解ください。

在宅医療によって得られるメリットとは?

次に在宅医療のメリットについて説明します。在宅医療のメリットは下記のようなことが挙げられます。

住み慣れた環境で診療を受けることができること

在宅医療の最大のメリットと言っていいでしょう。
入院治療は患者の日常生活にも様々な制限を受けます。

住み慣れた自宅で診療を受けるのであれば自分らしい生活を続けることが可能です。入院生活を続けるよりも精神的な負担は大きく軽減されます。

入院するより費用が抑えられる

当たり前のことですが入院すると費用が掛かります(宿泊施設に継続的に宿泊しているようなものです)。
短期間であればよいのですが、長期間にわたると経済的な負担はかなり大きくなります。

もし在宅医療を希望されるのであれば、そのためのベッドの購入や自宅のリフォームが必要になりますが、療養が長期間になることを考えると在宅医療の方が費用は抑えられるでしょう。

家族や友人と過ごすことができる

入院治療は他人と同じ空間で生活しなければいけませんし、面会時間もあり好きな時間に家族や友人と会うことができません。

常に家族がいる空間で過ごせること、また、友人がいつでもお見舞いに来てくれるという環境は療養生活で感じるストレスも軽減されるはずです。

在宅医療を行うことによって生まれるデメリットとは

次に在宅医療でのデメリットについて説明します。

家族への負担が大きい

入院しているのであればいつ何かがあっても病院が対応してくれますが、在宅医療の場合は介護している家族が24時間365日体制で患者のお世話をしなくてはいけません。

もし重篤な病状であれば目を離せない状況になります。在宅医療での介護は精神的、肉体的に大きな負担となりますので、家族は覚悟して在宅医療を行う必要があります。

患者本人、家族、親族の意思統一が必要

在宅医療を行うと介護を行う家族や親族に大きな負担がかかります。

患者が在宅医療を希望しても家族が協力しなければ実現が難しいのは当然のこと、家族や親族間でも意思を統一しないと介護に積極的な方と消極的な方の間の関係が良くなくなることもあります。どのように療養を行うかは関係者全員の意思統一が必要です。

緊急時の対応が遅れてしまう

入院していれば病状に変化があっても迅速に対応することができますが、在宅医療の場合はまずは医療機関に連絡を取って処置の指示を仰ぎ、あとは医師の到着を待たなければいけません。

その時間の長さによっては命にかかわることもあるでしょう。在宅治療はそうしたリスクも考慮しながら行わなければいけません。

積極的な治療を行うことが難しい

在宅医療は精神的な負担が軽減されますが、医療機関にあるような治療設備を設置しているわけではないため、入院時と比較するとどうしても検査や治療に差が出てしまいます。

在宅医療を行うことによって検査や治療はどうなるのか、医師に確認して把握しましょう。

満足いく終活の在宅医療を成功させる「在宅医」の存在

在宅医を選ぶポイント

終活としての在宅医療を行う時に気を付けなければいけないポイントは何でしょうか。
経済的なことや家族との意思統一、設備の整備などが挙げられますが、何と言っても協力していただける「在宅医」を見つけることになるでしょう。在宅医を選ぶポイントは下記の2つです。

自宅から近いこと

何かあった時にたとえ夜中でもすぐに来てくれる距離に医師がいるかどうかは非常に大きなポイントです。
在宅医療で必要な医師はいわゆる「名医」ではなく「何かあった時に駆けつけてくれる医師」です。

医師との相性

在宅医療を行う上で医師と相性は大切です。
患者だけではなく、家族とも相性のよい医師でなければ長く続けることが難しいでしょう。

在宅医を探す方法

在宅医療を行いたいときには、まずは主治医に往診が可能かどうか相談しましょう。
信頼できる主治医に往診してもらえるのであればとても安心します。

ただ、多忙な方であれば往診が難しいことも考えられます。そういった際に在宅医を見つけるにはいくつかの方法があります。

入院している(通院している)病院の医療連携室・相談室(医療ソーシャルワーカー)に相談する

病院には大抵「医療連携室」や「相談室」が在宅医療の相談窓口としてあります。
こういった窓口には「医療ソーシャルワーカー」という医療連携や医療制度活用の専門家が患者や家族の相談に乗ってくれますし、在宅医療の医師の紹介も行ってもらえます。

地域に密着した相談窓口で探す

地域に密着した様々な機関でも在宅医を探すことも可能です。具体的には下記のような期間となります。

地域包括支援センター / 市役所の介護保険担当窓口 / 居宅介護支援事業者(ケアマネージャー) / 訪問看護ステーション / 在宅介護支援センター(老人介護支援センター) / 保健所 / 各地の医師会 など

上記の窓口を訪ね、自宅の近所に在宅医療を行っていただける在宅医がいるかどうかを確認しましょう。
上記の中で訪問看護ステーションは、在宅医の指示をもとに患者を看護している事業のため、「それぞれの病状にあった適切な在宅医」を紹介していただける可能性が高くなります。

まとめ:終活のための在宅医療を成功させるには

「病院ではなく住み慣れた我が家で最期を迎えたい」と希望される方が増えています。
厚生労働省も今後拡大し続ける高齢化社会を見据え在宅医療や介護の推進を行っています。
今後も在宅医療を行う方、さらに人生の最期を自身の住まいで迎える方は増えていくでしょう。

どんなに健康な方でも「人生の最期をどこで迎えるか」という問題は避けられません。もし在宅医療を希望されるのであれば、希望を家族に伝えるだけではなく、出来る限り負担を軽減できるような準備をしてください。

参考資料:
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/zaitaku/dl/zaitakuiryou_all.pdf
厚生労働省「在宅医療・介護の推進について」

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