少子高齢化社会をむかえている日本では、終活に関する深刻な悩みを抱えている人が少なくありません。
先祖代々のお墓をどうするかといった問題や、身寄りのない人が施設に入ったり入院したりするときの保証人をどうするかといった問題、あるいは「おひとりさま」の将来への不安に関する問題など、終活の悩みは多岐にわたります。
そういった終活に関する悩みを相談したいと思っても、どこに相談したらいいのか分からないという方も少なくないと思います。
ここでは、終活に関する悩み別に、どこに相談をしたらいいのかについて考えてみたいと思います。
先祖代々のお墓をどうすればいいかという相談
実家に残した両親がなくなり、先祖代々のお墓をどうしたらいいのかという悩みを抱えている人も多いことでしょう。
終活の悩みのなかでも、お墓に関する悩みは非常に多くなっています。
まだ実家の近くに住んでいるのであれば墓守を続けることも可能かも知れませんが、実家から遠く離れたところに住んでいる場合だとお墓参りに行くだけでも大変です。
かといって、先祖代々のお墓をそのまま放置しておくのも心が痛むに違いありません。
そういったお墓に関する終活の悩みを抱えている人は、どこに相談をしたらいいのでしょうか?
墓じまいをして自分が住んでいる近くの納骨堂などに永代供養をするという形を選択をするのであれば、まずは菩提寺や霊園に相談をする必要があります。
ただし、お寺によっては檀家が離れて行くのを防ぐ目的で、数百万円もの高額な離檀料を請求してくるところもありますので注意が必要です。
離檀料を払わないと、改葬許可申請に必要な「埋葬証明書」を発行しないなどとゴネてくるお寺もあるようです。
関連記事:墓じまいのときトラブルになりがちな高額な離檀料~埋葬証明書が発行されない?
もし、墓じまいをするにあたって、寺院から高額な離檀料を請求されてトラブルになりそうなときには、市区町村の役所に相談をしてみるといいでしょう。
役所からの指導によって、高額な離檀料を払わなくても埋葬証明書を発行してくれることもあるようです。
ただし、その場合でも、これまで長い間先祖の霊がお世話になっていた寺院ですから、お気持ち程度の離檀料は渡すようにするといいでしょう。
役所からの指導があっても寺院が頑なに埋葬証明書の発行を拒むようであれば、最後の手段としては民事訴訟という形になります。
その場合は、もちろん相談窓口は弁護士事務所ということになります。
弁護士の力を借りずに訴訟をするというのは困難だからです。
このように、墓じまいをするときの相談窓口というのは、状況によってケースバイケースでいろいろと変わってくることになります。
おひとりさまの終活のなかでも特に深刻な保証人の問題
介護施設に入所するときや、病気になって入院をするときには、身元保証人や連帯保証人が必要になるのが普通です。
身寄りのない「おひとりさま」が自分の終活を考えるうえで、この保証人の問題というのは非常に深刻です。
なぜなら、赤の他人の連帯保証人に快くなってくれる人など、まずいないからです。
連帯保証人や身元保証人が負わなければならない責任の重さを考えれば当然のことです。
それでは、身近に頼る人がいない人が施設に入ったり入院をしたりするときの、保証人の問題はどこに相談をすればいいのでしょうか?
とりあえずは、ケアマネや病院の医療ソーシャルワーカーなどが相談窓口になるでしょう。
施設や病院とうまく交渉してくれて、保証人なしでの入居や入院を認めてくれることもあります。
しかし、ケアマネや医療ソーシャルワーカーに相談したとしても、必ずしも保証人の問題が解決できるわけではありません。
あくまでも、保証人が必要かどうかを最終的に判断するのは、施設や病院だからです。
もし、ケアマネや医療ソーシャルワーカーに相談してもダメだった場合には、保証人代行サービスを提供している終活関連の団体などに相談をしてみるといいでしょう。
当サイトでも、「心託」という身元保証サービスを提供していますので、興味のある方は以下のページをご覧になってみてください。
遺言状や相続などに関する終活相談はどこにする?
自分自身の終活を考えるときに、遺言状を残しておきたいと考えている人も少なくないでしょう。
また、相続に関することなども、自分が元気なうちに専門家に相談をしておきたいと思っている人もいることでしょう。
遺言状や相続などの法律が関係する問題の相談窓口として、多くの人が思い浮かべることができるのは弁護士事務所だと思います。
しかし、弁護士事務所というと、なんとなく敷居が高いイメージを持っている人も多いことでしょう。
また、弁護士事務所の場合、相談料として1時間あたり5千円程度の費用が発生するのが普通です。
遺言状や相続の相談だけであれば、弁護士ではなく司法書士や行政書士なども相談を受け付けているところが多いので、確認をしてみるといいでしょう。
ただし、司法書士も弁護士と同様に1時間あたり5千円程度の相談料を取るところが多いです。
それに対して行政書士であれば、基本的に相談業務は無料です。
なぜなら、行政書士というのは、相談業務で報酬を受け取ってはいけないことになっているからです。
あくまでも、遺言状などを作成するなどの行政書士としての実務を行うときに、報酬が発生することになっているのです。
もちろん、弁護士や司法書士であっても相談無料のところがありますので、事前に確認をしてみるといいでしょう。
また、公正証書遺言書を作成する予定の方であれば、近くの公証役場にいって相談をするのもいいでしょう。
公証役場も、相談だけであれば無料で行ってくれます。
手数料が発生するのは、あくまでも公正証書を作成するときだけです。
特別養護老人ホームの入居に関することを相談したいとき
特別養護老人ホームには、なかなか入居できないといわれています。
全国には、入居できずに待機している人が36万人もいるといわれています。
しかし、その一方で36万人という待機者の人数とは裏腹に、地域によっては空きがあってすぐに入居できる施設があることも多いのです。
本来であれば、特別養護老人ホームというのは要介護3以上の人でなければ入居できませんが、空きのある施設だと要介護1や2の人でも入居をみとめてくれたりもするようです。
参考記事:特別養護老人ホームは思っている以上に空き室がある?~なぜ36.6万人も待機者がいるのか?
特別養護老人ホームへの入居を検討している人の相談窓口は、社会福祉協議会になります。
もちろん、日頃からお世話になっているケアマネがいるのであれば、ケアマネ経由での相談でもいいでしょう。
また、入居したい特別養護老人ホームがあらかじめ決まっているのであれば、その施設に生活相談員がいるはずなので、相談をしてみるといいでしょう。
終活のやり方が分からない人はどこに相談をすればいいか?
自分の残りの人生を考えると、そろそろ終活をしなければならないと考えつつも、何から手をつければいいか分からないという人も多いことでしょう。
終活という言葉そのものが漠然としていますので、具体的にやるべきことのイメージがつかめない人もいます。
そのため、多くの人はとりあえずエンディングノートの作成などから取りかかろうとします。
しかし、いざエンディングノートを書き始めてみても、書き方がよく分からないという人も多く、自力で最後まで書ききる人はまれです。
エンディングノートの書き方セミナーなどが人気になっているのは、そういった理由があるわけです。
また、終活として何から始めていいか分からないという人の相談や、エンディングノートの書き方などの相談を受け付けている終活関連の有資を持っている人もいますので、そういった人に相談をしてみるといいでしょう。
参考記事:終活の資格や試験を徹底比較
あるいは、自分自身の終活に関する知識を深めるために、終活の資格を取得してしまうという選択肢もありだと思います。
有資格者向けのセミナーなどで、講師にいろいろと相談をしながら知識を深めていくことで、自分自身がやるべき終活の方向性もおのずから見えてくるに違いありません。