葬儀は一人の人間の人生という長い旅路の終幕です。お別れであると共に、人生を終えた人を送る大切な場です。大切な場であるからこそ、相応のマナーが求められます。
仕事には毎日足を運びます。その分だけ、マナーが身につきやすいことでしょう。対して葬儀は、連日足を運ぶわけではありません。だからこそ、葬儀のマナーは戸惑うことが多いという現実があります。
特に迷いやすい、服装・化粧・装飾品ついて、葬儀のマナーを解説します。
葬儀の3つのマナー!服装・化粧・装飾品
葬儀のマナーで特に迷いやすいのが、服装や装飾品、化粧などです。葬儀の場では普段何気なくしているメイクが、あまり快く思われないことがあります。自分では大丈夫だと思っていても、服装や装飾品が葬儀の場にふさわしくないと、眉をひそめられてしまうこともあります。葬儀は「普段通りで良い」のではなく「葬儀に合った服装や装飾品のマナー」が求められるのです。
女性だけでなく男性の中にも、ファッションに強いこだわりを持つ人がいることでしょう。友人や家族とお出かけする時は、自分なりのこだわりを見せても差し支えありません。しかし、葬儀の場で「これが自分のポリシーだから」と、自分のポリシーを貫くことは基本的にNGです。服装や化粧、装飾品はマナーをおさえて準備することが重要です。
服装、化粧、装飾品について、それぞれどんなおさえるべきマナーがあるのか確認していきましょう。
1.葬儀マナー【服装】
葬儀のマナーで多くの人が悩む問題が「服装」です。喪服を着れば万事解決するのではないかと思うかもしれません。しかし「死は突然」なので、ゆっくりと喪服を用意できるとは限りません。
喪服自体は持っていても、すぐに喪服を着用して駆けつけることが難しいケースもあります。たとえば、会社で仕事している最中に訃報がもたらされ、帰宅する間もなく駆けつけなければならない場合もあります。喪服をクリーニングに出していて、夜中にいきなり訃報がもたらされ、朝一で駆けつけなければならないこともあります。
葬儀の基本は「喪服」です。ただ、死は突発的な出来事です。事態に対処できるよう、服装にどんなマナーが求められるのか、ポイントをおさえておくことが大切です。
葬儀や告別式では、喪服を着用します。通夜は、必ず喪服を着用しなければいけないわけではありません。通夜は急なことだからです。葬儀や告別式まで喪服を整えておくように心がけ、通夜はポイントをおさえた服でも差し支えありません。
通夜は、男性の場合は黒いスーツに黒ネクタイをつけます。靴下も黒を合わせます。ワイシャツは白無地を合わせ、カラーシャツは避けます。女性の場合は、黒色や濃い灰色などのスーツあるいはワンピースを着用します。ストッキングは肌色か黒を用い、柄物やカラータイツは避けます。
2.葬儀のマナー【化粧】
女性が特に悩む葬儀のマナーが「化粧」です。職種によってメイクにマナーがあるように、場によってもメイクにはマナーがあります。葬儀には葬儀のマナーに則った化粧をすることが基本です。
葬儀では「絶対にこの色の口紅を使う」「ファンデーションはリキッドタイプでなければいけない」などの決まりはありません。どんなメーカーの化粧品を使っても差し支えありません。ただ2点、「色」と「濃さ」には気をつける必要があります。
口紅はベージュ系などのあまり派手には見えない色をチョイスします。アイシャドウやチークは控えめにしましょう。仕事疲れで顔色が悪く、くまなどを隠したい場合も濃すぎる化粧は避けた方が無難です。色も、ファンデーションやチーク、口紅などを総合して、派手な色合いやあまりに慶事を思わせる色合いは避けた方がいいでしょう。基本は、薄目のメイクやナチュラルメイクです。
3.葬儀のマナー【装飾品】
葬儀の装飾品といえば、真っ先に女性のバッグやアクセサリーを思い浮かべるのではないでしょうか。
葬儀では、普段何気なくつけているアクセサリーでもNGになることがあります。アクセサリーはキラキラしていないものが基本です。心配ならつけない方が無難です。
真珠は葬儀でも用いて良いとされています。真珠のアクセサリーはつけても差し支えありません。真珠を身に着ける場合は、ゴールド系の華やかな色合いの珠は避け、白や灰色といった珠のものをチョイスしましょう。バッグはエナメルや派手な柄物は避け、黒いシンプルなものを合わせます。
男女ともに気をつけたいのは時計です。時計は時刻を知るためのものです。アクセサリーなどの装飾品と違って、無意識に身に着けてしまうことがあります。キラキラしている時計や派手な時計、ごてごてした時計は避けた方が無難です。葬儀場では腕時計を外しておくという方法もあります。
まとめ
葬儀は一人の人生の終幕の場だからこそ、場に相応しいマナーが求められます。服装、装飾品、メイクにもそれぞれマナーがあります。葬儀のマナーのコツは「全てを完璧に知っておく」ことを目指すのではなく、服装や化粧などのポイントをおさえておくことです。ポイントをおさえておけば、未知の疑問に対しても応用力で乗り切ることができることでしょう。
加えて、葬儀の際の服装やメイクは「控えめ」がポイントになります。大切な人を送る場だからこそ、綺麗な格好をしたい気持ちもわかります。しかし、葬儀は自分と故人だけの場ではありません。遺族や他の参列者にとっても大切な場だということを忘れず、マナーへと気を配りたいものです。