お葬式

枕飾りのどのように行えばいいのか?~仏具やお供えするもの

亡くなった方を自宅や斎場などに搬送したあと、納棺までの間は布団に寝かせて安置をすることになります。

そのとき、遺体のそばに枕飾りというものを置くのが一般的です。

死んだばかりの霊魂は不安定な状態のため、成仏を促したり、死体に悪霊がとりつくのを防いだりする目的で枕飾りをするといわれています。

ここでは、枕飾りのやり方や、用意すべき仏具のことなどについて解説をしてみたいと思います。

枕飾りに必要な仏具やお供え物には何があるのか?

人が亡くなったときに枕飾りを目にしたことのある人は多いと思いますが、自分が枕飾りを準備する当事者になることは滅多にありません。

そのため、身内に不幸があったときに、いざ枕飾りをしようと思っても何をどうしたらいいのか分からないという人も少なくないでしょう。

昔は、しきたりや作法などに詳しいお年寄りが身近にいて、そういった人に聞けば大抵のことは教えてくれましたが、核家族化が進んだ現在では、そういったことを聞く人が周りにいなくなってしまいました。

何から手をつけていいか分からないという人のために、まずは枕飾りに必要な仏具やお供え物について説明をしてみたいと思います。

四足の台とその上を覆う白い布

枕飾りをするには、小机のような4つ足の台を用意しなければなりません。

そして、その台の上に白い布をかぶせて、三具足などの仏具や枕団子や枕飯といった枕飾りに必要なものを置いていくことになります。

三具足と呼ばれる香炉・花瓶・燭台

枕飾りに必要なものとして、三具足(みつぐそく)と呼ばれるものがあります。

三具足というのは、香炉、花瓶、燭台のことを指します。

香炉というのは、いわゆるお線香をたてるためのもので、香炉灰を入れて使用します。

宗派によっても異なりますが、香炉には1本の線香をたてるのが普通です。

地域や宗派によっては、朝まで線香の火を絶やしてはいけないという風習があります。

そのため、かつては必ず誰かが起きていて香炉の線香を見張っていなければなりませんでした。

しかし、最近では長時間にわたって火をともすことのできる渦巻き状の線香などがあるため、うっかりと線香を絶やす心配はなくなっています。

花瓶も三具足の1つで、必ず枕飾りには必要なものです。

花瓶に入れる花は、樒(しきみ)や菊を1本挿すのが一般的ですが、百合や水仙などでもかまいません。

三具足の残りの1つは燭台で、この上にろうそくを立てます。

燭台は1つでも問題ありませんが、右と左に1つずつ置く場合もあります。

線香は大きく分けて2種類あります

枕飾りには、香炉にたてる線香が必要になります。

線香には大きく分けて「匂い線香」と「杉線香」の2種類があります。

「匂い線香」は香木や香料などを使用して作られており、杉線香にくらべて値段的に高くなっています。

杉線香は、乾燥させた杉の葉を粉末にして作られた線香で、匂い線香にくらべて香りでは劣りますが、値段が安く煙がたくさん出るという特徴があります。

杉線香は煙がよく出ることから、お墓参りのときなどによく利用されます

枕飾りには、どちらの線香を使わなければならないという決まりはありませんので、好みの線香を使うようにするといいでしょう。

人々の邪念を払うための鈴(りん)

枕飾りに必要な仏具の1つに、鈴(りん)があります。

お線香をあげたり、お坊さんが読経したりするときにチーンと鳴らす例の仏具です。

仏具店にいったときに、うっかり「すず」と読んでしまうと恥をかきます。

鈴と書いて「りん」あるいは「おりん」と呼ぶのが正解です。

この鈴は、チーンという澄み渡った音によって、人々の邪念を払うことができるといわれています。

枕飯・枕団子・水といった食べ物も枕飾りに必要です

枕飾りには、枕飯と枕団子、そして水をお供えします。

冥途へ行くまでのお弁当代わり食べてもらうという説や、食べ物の魅力で生き返ってほしいと願ってお供えするといったさまざまな説があります。

枕飯に使うお茶碗は、故人が生前に使用していたものを利用します

ご飯を山盛りにして、その真ん中に箸を一善立てます

子どものころに、ご飯に箸をたてると親から怒られた経験のある人もいると思いますが、枕飯を連想させるので縁起が悪いというのがその理由です。

枕団子は、「死者の弁当」などと言われています。

お皿のうえに6個の団子をお供えするのが一般的です。

団子の数が6個なのは、「地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上」という6つの世界を行ったり来たりしながら悟りを開いて成仏するときに、それぞれの世界でお腹が空いても困らないためだという説があります。

水は、コップや湯飲み茶わんなどに入れてお供えします

ものを食べるときに飲み物が必要なのは、故人であっても同様だとの考えからお供えするわけです。

枕飾りはすべて葬儀社におまかせしてしまうのも1つの選択肢です

枕飾りのときに用意しなければならない仏具は、仏壇のある家であればすべてそろっていると思います。

しかし、自分の家に仏壇がないのに、三具足や鈴などがすべてそろっているという家はまずないと思います。

お葬式は突然のことが多いですから、そういったものをすぐに買い揃えるというのも大変です。

そういった場合には、一から自分でそろえるのではなく、枕飾り一式を葬儀屋さんにおまかせしてしまうほうがいいかも知れません

手間がかかりませんし、費用的にもそれほど高いものではありません。

葬儀社にもよりますが、1万円~3万円ほどで用意してくれるところが多いようです。

神式の場合にはどのような枕飾りをするのか?

ここまで説明してきた枕飾りは、仏教の場合でした。

神式で葬儀を行うときの枕飾りはどのように行うのでしょうか?

まず、燭台と花瓶を台の上に左右に1つずつおきます

花瓶は仏式で使われるようなものではなく、神棚に置かれているものと同じものを使用して、そこに榊(さかき)を入れます。

神式で特徴的なのは、三方と呼ばれる木の台です。

この三方の上に、白い紙を敷いて水・洗米・塩・お神酒などをお供えします

また、故人が生前に好んでいた食べ物なども、一緒にお供えしてもよいとされています。

仏教のようにお供えする食べ物に決まりはありませんので、肉や魚などをお供えしても問題ないようです。

キリスト教の場合は枕飾りをする習慣はありません

仏教や神道の場合は、枕飾りをするのが普通ですが、キリスト教の場合にはそういった習慣はありません

しかし、故人を偲んで枕飾りのようなことが行われることもあるようです。

四足の台のうえに白か黒い布を敷いて、キリスト教にちなんだ聖書や十字架の他に、燭台、パン、白い花、水などがおかれます。

また、キリスト教の終油の秘跡という儀式に合わせて、聖油つぼがおかれたりすることもあるようです。

聖油というのは、臨終のときに神父さんが故人の顔に塗る油のことです。

聖油を塗ることで、生前に行った罪の許しを受けることができるとされています。

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