お葬式のマナーやしきたりに詳しい人はそれほど多くないと思います。
そのため、そういったことをあまり深く考えずに、お通夜や葬儀に参列してしまっているのではないでしょうか。
しかし、年配者など、そういったしきたりやマナーにうるさい人が見ていたりすると、「非常識な人」といった烙印を押されかねません。
マナーを知らないだけならまだしも、縁起が悪いからやってはいけないとされているタブー的なことをしてしまうと、周りの人からひんしゅくを買うことにもなってしまいます。
ここでは、最低限知っておきたい、お葬式のときにやってはいけない作法やタブーについて書いてみたいと思います。
お葬式に行くときの服装で気をつけるべきことやタブー
お葬式に行くときは、喪服を着て行くということは誰でも知っていると思います。
しかし、喪服さえ着ていればあとはどうでもいいということではありません。
ここでは、お葬式に参列するときに、気をつけたい服装まわりのことについて紹介してみたいと思います。
派手なアクセサリー類は基本的にしていかないのがマナー
日頃からアクセサリー類を身に着けている人も多いと思います。
ネックレスや指輪、腕時計といったものです。
そういったアクセサリー類も、すべてがダメなわけではありません。
あまりにも派手なものは避けるべきだということになります。
たとえば、ネックスレスなども、キラキラと輝くようなものは避けるべきだといえます。
女性がお葬式のときにしていくネックレスで無難といえるのが、真珠のネックレスです。
ただし、気をつけなければいけないのは、たとえ真珠のネックレスでも二重にかけて行ってはいけないということです。
これは「不幸が重なる」ということを連想させるために、タブーだとされています。
腕時計は、普通のシルバーのものや黒革のものであれば問題ありませんが、派手な金無垢の時計などはしていかないようにしましょう。
靴も基本的には黒の革靴を履いて行くのが無難といえます
あわてて喪服に着替えて式場に向かうときに、うっかりしがちなのが靴です。
普段履いている靴でそのまま出かけて行ってしまいがちですが、お葬式にふさわしくないような靴は履いて行かないようにしましょう。
たとえば、運動靴やサンダルなどです。
また、革靴であっても派手な目立つ色のものはさけて、黒い色のものを選んで履いて行くようにすべきです。
また、女性の場合はパンプスなどを履いて行くこともあると思いますが、なるべくかかとの低いものを選ぶようにするのがマナーといえます。
喪服がないときは平服で参列しても大丈夫?
お通夜やお葬式は突然のことが多く、当日に喪服を用意することができないという人もいるかも知れません。
そういった場合、お通夜であれば一般参列者は平服でも問題ないとされています。
突然の訃報に着の身着のままで参列するケースも少なくないからです。
もちろん、平服とはいっても派手な服装はさけて、なるべく地味な服装で参列するのが基本です。
それでは、お葬式の場合はどうでしょうか?
お葬式の場合は、喪服で行くのがマナーとなりますので、なんとか用意をして参列したいものです。
太ってしまって喪服が着れなくなってしまったとか、実家に置いたままで取りに行っている時間がないといったような場合には、友人や知人などから借りるようにするといいでしょう。
また、喪服のレンタル屋さんなどもありますので、そういったところから借りるようにしてもいいでしょう。
喪章をつけていれば平服で参列しても大丈夫なのか?
喪服を持っていない人は、平服に喪章をしていけば参列すれば大丈夫だという話を耳にしたことがあるかも知れません。
しかし、厳密にいえばそれもマナー違反ということになります。
なぜなら、喪章というのは一般参列者がつけるものではなく、遺族や葬儀関係のスタッフがするものだからです。
喪服を着る代わりに喪章をつけて平服で葬儀に参列してもいいという話は、本当は間違いだということを覚えておくようにしましょう。
お葬式のときにやってはいけない作法と守るべき基本ルール
お葬式に参列するときには、普段あまりやらない作法を行うことになりますので、自分がマナー違反やタブー的なことをしてしまっても、なかなか気がつかないものです。
ここでは、葬儀に参列するときの作法で、やってはいけないことをいくつか紹介してみたいと思います。
焼香のときに抹香を自分の顔の方に向けるのはNGです
焼香は、遺族の方などが見ている前ですることになりますので、何かマナー違反をしてしまわないかと緊張してしまう人も多いと思います。
そのため、先に焼香をしている人の様子をよく見ていて、それと同じようにすれば無難だと考える人もいることでしょう。
しかし、自分の前に焼香をした人が、正しいやり方でやっているとは限りません。
たとえば、多くの人がやってしまいがちなのが、手に持った抹香を自分の顔の前まで持ってきたときに、手のひらを上に向けてしまうことです。
実はこれはマナー違反で、顔の近くまで抹香を持ってきたときには、あくまでも手のひらは抹香をつまんだ状態のまま下を向いていなければなりません。
また、浄土真宗の場合に、抹香を顔の位置まで持って行く作法そのものを行いません。
さらに焼香の回数も、宗派によってそれぞれ1回~3回までさまざまです。
どうしても焼香の作法が分からないときには、葬儀社のスタッフなどに尋ねるようにするといいでしょう。
一般的な焼香のやり方は以下になります。
- 焼香台の前で遺族に向かって一礼をする
- 遺影に向かって一礼をする
- 人差し指、中指、親指の3本で抹香をつまんで顔の位置まで持って行き、静かに香炉に落とす(浄土真宗の場合は、抹香を顔の位置まで持って行かない)
- 合掌をして故人の冥福を祈る
- 遺影と遺族に一礼をしたあとに席に戻る
葬儀に参列中に守りたい基本的なマナー
焼香を済ませたあとも、葬儀に参列中は基本的なマナーを守らなければなりません。
マナーといっても、ほとんどのことは常識的なことばかりですが、なかにはそういった常識的なことですら守れない人もいるようですので、気をつけたいものです。
まず、参列する席ですが、基本的に前の方の席は遺族が座る場所となりますので、一般の参列者はそこには座らないようにします。
そして、参列中は白い歯を見せるなどの明るい表情はしないようにしなければなりません。
地域によっては米寿(88歳)以上の高齢者が亡くなったときに、長寿にあやかるという意味で「長寿銭」をお祝い袋に入れて渡したりする風習があります。
しかし、だからといって葬儀の場で明るい表情をするというのは不謹慎であるといえます。
それと、葬儀に参列中は、携帯電話の電源を切っておくかマナーモードに切り替えておくというのも大切なマナーといえます。
読経中に着信音が鳴ったりすると、周りの人たちからひんしゅくを買ってしまいますので、これも必ず守るようにしましょう。
お葬式のときに言ってはいけない「忌み言葉」というものがあります
お葬式のときには、言ってはいけないとされている言葉があります。
こういった言葉は「忌み言葉」などと言われています。
一般の参列者の方が葬儀のときに何か話をするということはあまりないと思いますが、遺族側の人は喪主の挨拶のときなどに気をつけるようにした方がいいでしょう。
また、弔電などを打つときにも、忌み言葉に気をつけたいものです。
一般に、不吉な言葉や重ねていう言葉などが忌み言葉とさえています。
不吉な言葉としては、「消える」「落ちる」「数字の四、九」などです。
「重ね重ね」「たびたび」「返す返す」「再び」「いよいよ」といった、不幸が重なることや不幸が再び来ることを連想させるような言葉も使ってはいけないとされています。
ただ、忌み言葉を意識しすぎると何も話せなくなってしまいますので、過剰に意識し過ぎないようにすることも大切です。