終活

終活はいつから行うべき? 始めやすいタイミングを解説

終活はいつから行うべき? 始めやすいタイミングを解説

日本社会の少子高齢化や、従来とは違う価値観の変化により、最近では自分らしい最期を迎えるために終活を行う方が増えてきています。しかし、「終活って一体何をするの?」「終活はいつから取り組むべきなんだろう?」と疑問を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

終活は、死後の家族の負担を減らし、穏やかに老後を過ごすための活動です。近年は終活の必要性がさかんに報道されているため、「自分もそろそろ始めるべきかな」と考えている人も多いでしょう。

そこで今回は、終活をしてみようと思うけれどいつから始めるべきか、何をすべきかお悩みの方へ向けて、実際に終活で行う内容と始めるべきタイミングをご紹介します。

いつから終活を始めてもOK!終活を始めるきっかけとは?

人生の終わりについて考え行動する終活は、一体いつから始めるべきなんだろう?とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし、基本的に終活はいつから始めるべき!というものではありません。いつから終活を始めても問題ないのです。そのため、どういったきっかけで終活を始めるのか見ていきましょう。

①:定年退職した時

最も終活を始めやすいタイミングは、定年退職した時です。「長い間お疲れ様」とお祝いをしてもらったのもつかの間、毎日当たり前のように行っていた仕事がなくなったことで、何をしていいのかわからなくなってしまうケースは珍しくありません。やることを見つけられず、日がな1日家でゴロゴロしている人もいるでしょう。

特に問題なのが、夫は外で働き妻は専業主婦という家庭です。夫が定年退職しても、妻はそれまで通り家事を行わなければなりません。それなのに夫が家でゴロゴロしていれば、「せめて掃除ぐらいしろ!」と言いたくもなるでしょう。熟年離婚にもつながりかねないので、夫は少なくとも家庭内での仕事を見つけるべきなのです。

そこで、定年退職を人生の転換期と捉え、終活に挑戦してみましょう。仕事が忙しくて長年放置していた私物や、もう使うこともなくなった仕事の備品など、片付けるべきものがたくさんあるはずです。お墓や葬儀、遺産相続などについて家族と話し合う時間も作ってみてください。

②:65歳を過ぎた時

近年では、高齢化や人手不足の影響で、定年を過ぎても再雇用されるケースが増加しています。70歳まで働くのが当たり前という時代も近づいているのです。また、そもそも自営業者などの場合は、定年も存在しません。これでは「定年を機に終活を始める」ということがなかなか難しいですよね。

満足のいく終活を行うには、ある程度の時間の余裕が必要です。そこで、平均寿命から終活の始め時を逆算してみましょう。厚生労働省の発表によれば、2017年の日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳でした。亡くなる10年前には終活に取り掛かるべきだと考えるなら、遅くとも70歳くらいからは終活を始めた方がいいとわかります。

もちろん、寿命はあくまでも目安ですから、すべての人が80歳強まで生きられるわけではありません。病気だけではなく、遺伝や体質も寿命を左右します。家族や親族に70歳過ぎで亡くなっている人が多ければ、少し早めに終活に取り掛かった方がいいでしょう。

③:入院や手術をした時

多くの人が人生の最後を意識するのは、入院や手術をした時です。特にガンなどの大きな病気になった時は、「もうすぐ死んでしまうのでは」と不安になる場合もあるでしょう。無事に全快して退院したとしても、人生の終わらせ方を考える契機にはなりますよね。

そこで、入院や手術をしたあとは、終活について家族と相談してみましょう。「何を弱気になっているんだ」と言われてしまうかもしれませんが、自分の死後についてまじめに考えていることを打ち明ければ、家族も真剣に話を聞いてくれるはずです。弱気になっているのではなく、前向きに終活を始めたいのだという気持ちを伝えてください。

なお、主治医から余命を宣告されたとしても、鵜呑みにしていいわけではありません。余命も平均寿命と同じで、目安に過ぎないからです。余命を信じて身辺整理をしたところ、余命を大幅に上回って生存してしまったケースが実際に発生しています。「終活のやりすぎ」はかえって老後の負担を増加させますから、様子を見ながら適度に進めましょう。

④:子供や孫と同居することになった時

子供一家と別れて暮らしていたところ、老後の生活を心配して三世代同居を提案されることはよくあります。いくら子供や孫とはいえ、別々の家庭が1つにまとまるわけですから、いろいろな準備が必要ですよね。一家が共同で使える品物は、一方の家庭のものを処分したり、新しく買い直したりする必要もあるでしょう。

そのため、子供や孫との同居は、生前整理を始めるまたとない機会といえます。お互いの家を見学して、必要なものや不要なものを調べてください。特に、それまで住んでいた家を解体する場合は、家一軒分の荷物の扱いを決める必要があります。思い切って断捨離を行い、新たな家庭に持ち込む荷物を極力減らすといいでしょう。

そして、子供や孫と同居するということは、コミュニケーションの時間も増えるということです。別居中はなかなか話しにくかった葬儀やお墓、遺産相続などについて相談する時間も生まれます。子供夫婦はもちろん、必要なら孫も交えて今後の事を話し合ってください。

⑤:配偶者が亡くなった時

夫婦で生活していれば、どちらかが必ず先に旅立つことになります。残された側は悲しみに暮れると同時に、「自分もそう遠くないだろうな」と考えるでしょう。それまで夫婦2人で暮らしていた場合は、自動的に1人暮らしになりますから、自分自身の死後のことを真剣に考える必要が出てきます。子供のいない夫婦では特に重要です。

そこで、配偶者が亡くなってしばらく経ったら、自分も終活を始める意思を親族や友人に伝えましょう。大変な状況なのは周囲も理解していますから、快く協力してくれるはずです。生前整理を行う時などは、遠慮なく手伝いを頼んでください。

また、配偶者の死は「家族が亡くなった時に何を行わなければならないのか」を学ぶいい機会でもあります。遺品整理に遺産相続、お墓や葬儀の手配など、やるべきことはさまざまです。身をもってそれらを体験することで、「これとこれは生前にやっておくべきだな」と知識を深められるでしょう。その経験を活かして終活を始めることをお勧めします。

⑥:衰えを感じ始めた時

終活はいつから始めるべきというものはありませんが、肉体的な衰えが訪れてしまう前に取り組みを始めたほうが良いでしょう。肉体的に衰え始める事で自身の最期を想定する方も多いものの、衰えが進行してしまうと生前整理といった終活の作業がやりづらくなってしまうという盲点も。

そのため、あえて終活にいつから取り組むべきかと言えば、終活を行える体力がある内に、というのがベストだと言えます。

気になる終活の内容について

終活とは人生の最期を受け入れた人が行う行動です。予め終活を行うことで、死後、遺族の負担を大幅に減らすことが出来ます。そんな終活について、一体どういったことを行うのか見ていきましょう。

エンディングノート

終活を始める上で最初に準備していただきたいのはエンディングノートです。エンディングノートとは別名終活ノートとも呼ばれており、自分の個人情報や、家族への連絡先、自身の持っている資産の他、友人知人の連絡先なども記載しておくことで、葬儀の際に告知漏れが無くなるといったメリットもあります。

また、万が一の際、延命処置の希望など家族へのメッセージを残しておくことで、家族間の争いを事前に防ぐことが出来るでしょう。エンディングノートには法的な効力がないものの、筆者の意志を尊重するための参考として、遺された家族がその後の行動や遺品整理をしやすくなるというメリットがあります。

終活はいつから始めても良いものの、最期がいつ来るかは誰にも分かりません。エンディングノートを準備しておけば予期せぬ最期をカバーすることが出来るため、はじめに取り組むべき終活だと言えるでしょう。

生前整理

終活の中で重労働となってしまうのが生前整理の存在でしょう。長年過ごしてきた事で身の回りには様々な思い入れの品があるかと思いますが、それらの中で不要なものを予め処分しておくことを言います。

自身が亡くなった後、遺族が遺品整理として故人の持ち物を片付けていると、精神的にこらえ切れず泣いてしまうという方もいらっしゃいます。お住まいの物件によってはそんな精神状態の中でも遺品整理をしなければならず、心身ともに疲弊してしまうのは避けられません。

しかし、生前整理によって不要なものを予め処分しておくことで、遺族の遺品整理を手助けすることが出来ます。生前整理も終活と同じく、いつから始めるべきと決まった時期はありません。しかし、思い入れの品の数によっては重労働になることが想定されるため、身体が衰えてしまう前に取り組んだ方が良いでしょう。

生前整理を請け負っている遺品整理業者なども存在するため、「物が多くて作業が大変!」という方や、「既に身体が衰えて整理しづらい…」という方は、一度相談してみてはいかがでしょうか?

葬祭にまつわる準備

最近では、家族に金銭的な負担が掛からないように自身の最期を決めるという方も多く、葬祭にまつわる様々な準備を事前に済ませる方がいらっしゃいます。特に墓石の相場は150万をゆうに超えており、葬祭で遺族の方が支払う出費は手痛いものになってしまうでしょう。

その上、葬儀はどういった規模で行いたいのか、誰を呼んで欲しいのか、霊園に入りたいのか、納骨堂を利用したいのかなど様々な選択肢があるため、遺族が頭を悩ませてしまうことも。事前に終活をして御本人が葬祭ごとを取り決めておく事で、一連の流れをスムーズに済ませることが出来るのです。

終活は自身と冷静に向き合い、家族の負担を減らすための行動です。葬祭にまつわる準備を事前に済ませておくことで、家族の負担が減らせるのは言うまでもありません。終活をいつから始めても、家族のためになるのは間違いないでしょう。

終活で得られる3つのメリットとは

いつからでも終活を始められるため、「では元気のうちから!」と取り組みを考える方も増えてきています。そんな終活で得られるメリットについて見ていきましょう。

遺された家族の負担を軽くする事が出来る

終活で一番のメリットとも言えるのが、家族への負担を軽くすることが出来る点です。事前に葬祭ごとを決めておいたり、生前整理をしていたり、場合によっては介護施設の利用などを設計建てておく方もいらっしゃいます。

また、遺された家族が遺産について争い、法的に問題解決をしようと裁判にまで発展するケースも少なくありません。エンディングノートや遺言書を通じて相続トラブルの回避にも繋げる事が出来るため、終活をする事で家族の負担を減らし、家族間の争いが起こらないように出来ると言えるでしょう。

持ち物を整理することで気持ちも整理できる

長年暮らしていると意外と不要品が出てきてしまうものです。しかし、生前整理により不要品を処分することで生活環境を改善することが出来ます。また、終活をきっかけに様々な思い出の品と触れ合うことでしょう。昔と触れ合うことで、次第に自身の中にある忘れかけていた思い出を呼び起こす事が出来るかもしれません。

忘れかけていた出会いや思い出を元に、自身の人生がどんなものだったか振り返る事が出来るでしょう。

今後の人生設計を建てる手助けに

終活はいつからでも取り組めるからこそ後送りにしてしまう方もいらっしゃいます。しかし、終活は最期を見据えた行動だからこそ早い段階で取り組むべきだと言えるでしょう。終活をすることで心の荷を下ろし、これからの人生をどうしようかと悩む良いきっかけにもなります。

自身の最期に対して漠然としたイメージを持ったまま日々を過ごすよりも、しっかりと不安を解消する事で、今後の人生がより充実したものになるのは間違いありません。

終活を始めるタイミング【まとめ】

終活という言葉は縁起が悪いと感じ、あまり取り組みたくない…という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、いつ身体が不調になってしまうかは誰にも分かりません。そのため、終活をしなかったために自身が望む最期を迎えられなかったというケースも十分想定されるでしょう。

終活はいつからでも行うことが出来るものの、終活をした人としていない人では遺された家族への負担も全く異なります。だからこそ、終活は早い段階で取り組んだ方が良いのです。まずは自分の気持ちに整理をつけ、終活を始める第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?

RELATED POST