おひとりさまの終活

「おひとり様」じゃなくても保証人代行を依頼するケース~親子の不仲・夫婦で加入

入院をしたり介護施設に入所したりするときに、身元引受人や連帯保証人を要求されることが多くなっています。

普通に家族がいたり親族との関係が良好だったりする人であれば、そういったときに困ることは少ないかも知れません。

しかし、おひとり様で身寄りのない人だと、身元引受人や連帯保証人を探すのは非常に困難になるはずです。

そういった人に向けたサービスとして、最近話題になっているのが「身元保証代行」です。

入会金や預託金を支払って会員になることで、一生涯にわたって身元保証を行ってくれるというサービスです。

ところが、実際にはそういった身元保証代行サービスを利用する人というのは、必ずしも身寄りのないおひとり様ばかりとは限らないのです。

普通に家族や親戚がいるにもかかわらず、さまざまな事情によって身元保証サービスを利用する人が、かなりの割合で存在します。

具体的には、どういった人たちが家族や身内がいるにもかかわらず身元保証サービスを利用しているのでしょうか?

子どもがいてもあえて身元保証サービスを利用するケース

「子どもは自分の親の面倒をみなければならない」という考え方が常識であったのは、過去のことになりつつあるのかも知れません。

最近では、親の面倒は一切見るつもりはないし、ましてやリスクのある連帯保証人や身元引受人などになるつもりはないと考える人も少なくないようです。

また、自分の子どもがいるにもかかわらず、仲が悪かったり経済的な負担をかけたくないといった理由から、あえて本人が身元保証サービスに申し込みをするケースもあります。

具体的に、いくつかの事例を紹介してみたいと思います。

15年以上も疎遠となっている父親の保証人を依頼された娘さんのケース

父母の別居により15年以上も疎遠となっている父親が、入院をすることになって、保証人になることを依頼された娘さんケースです。

娘さんは父親とは遠く離れたところに住んでいたこともあり、近くに住んでいる父親の兄である叔父が対応をしていましたが、入院中にトラブルを起こしたことなどから、叔父は娘さんに対応を求めてくるようになりました。

しかし、娘さんの方も15年以上前に父母が別居して以来父親とは一度も会っておらず、母親もすでに他界していることもあり、基本的にはかかわりたくないというスタンスです。

そうはいっても、叔父の負担を考えると娘として完全に無視をするわけにもいかず、苦肉の策として身元保証サービスを利用することを考えるようになりました。

父親にはかかわりたくないというのが本音であっても、叔父のために娘としてせめてもの誠意をみせたいということなのでしょう。

実の息子の代わりに継母の面倒をみさせられているケース

実の息子がいるにもかかわらず、その息子が介護施設に入っている母親の面倒をまったく見ようとせず、父親の連れ子である娘が保証人として継母の面倒をみさせられているというケースです。

施設の入居費用は毎月8万円ほどかかっているそうですが、継母には年金収入しかないために、保証人となっている父親の連れ子が毎月差額の2万円を負担させられています。

そのため、継母の保証人をやめたいので、なんとかならないかと身元保証団体に相談をしてきたわけです。

しかし、すでに毎月マイナス2万円の負担が発生してしまっている状態で、保証人になることを引き受けてくれる身元保証団体はまずありません。

最初から赤字になると分かっている案件を、身元保証団体が拒否するのは当然だからです。

しかし、こういったケースでまったく対策がないわけではありません。

それは、継母に生活保護を申請してもらうという方法です。

生活保護の申請が通れば、年金で足らない分の施設の費用をまかなうことも可能です。

そういった形であれば、引き受けてくれる身元保証団体もあるでしょう。

ただ、身元保証人を途中で変更するには施設の許可を得る必要がありますし、入所されている方に意思決定能力がない場合だと、さまざまな面倒な手続きが発生することになります。

両親が二人とも要介護となってしまって負担が大きいと感じた方のケース

両親が二人とも要介護となってしまった北海道に住む女性のケースです。

自分一人で両親二人の身元引受人になるのは大変なので、身元引受代行をお願いしたいという相談です。

東京に姉が住んでいるそうですが、姉妹の仲はよくないようで、あまりかかわり合いたくないようです。

姉に相談するくらいなら、身元保証代行サービスを利用した方がいいと考えたのでしょう。

このケースのように、実の親が両方とも要介護となってしまい、自分一人だけでは負担が大きすぎると考えて、あえて身元保証会社に依頼をするケースも増えています。

実際に、施設に入所中の両親に支払能力がなくなってしまった場合、連帯保証人が支払を肩代わりしなければならなくなりますし、施設内で何かトラブルがあったときにも対応をしなければならなくなります。

身元引受人や連帯保証人の負担というのは思った以上に重いので、たとえ自分の親であってもなるべくリスクは取りたくないと考える人が最近では増えています。

子どもに自分の保証人にはなってもらいたくないと考える親

親の面倒はみたくないという理由で身元保証代行サービスを利用する人もいれば、逆に子どもの世話にはなりたくないという理由で本人が申込みをするケースもあります。

こういったケースの場合には、大きく分けて2つの理由があります。

1つは、単純に親子の仲が悪い場合です。

子どもとは親の面倒をまったくみる気がなく、親は子どもの世話になんかなりたくないと考えているケースです。

こういったケースの場合、長年にわたって親子のコミュニケーションが取れていないことがほとんどで、保証人を依頼する以前の状態になってしまっています。

2つ目の理由としては、親が子どもの経済的な負担を考えて、あえて子どもにリスクを負わせたくないと考えている場合です。

先にも書きましたように、身元引受人や連帯保証人の負担は決して軽いものではありませんので、自分の子どもにそういった負担を負わせたくないと考える親も少なくないのです。

また、こういった親の場合には、身元保証だけではなく、葬儀やお墓に関しても自分の子どもに負担をかけたくないと考えていることが多く、生前に自分のお墓を建てたり葬儀の生前予約をしたりすりことも多いです。

夫婦がともに健在であるにもかかわらず身元保証代行に頼る人たち

おひとりさまではないのに、身元保証サービスを利用する人というのは、親子間に問題があったり、子どもの経済的な事情を考えたりする人のケースばかりではありません。

夫婦がともに元気であるにもかかわらず、お互いのためを思って身元保証サービスに入会するといったケースもあります。

つまり、将来どちらかが先に亡くなってしまっておひとり様になってしまったときに、それぞれが不安にならないように事前に身元保証サービスに入会をしておくというものです。

また、夫婦ともに存命であったとしても、どちらかが入院や施設に入居する際に、保証人としての要件を満たすことができないために、仕方なしに身元保証サービスを利用するというケースもあります。

連帯保証人は、何かあったときに本人に代わった経済的な負担を強いられることになりますが、年金以外にまったく収入のないような人だと、連帯保証人としての要件を満たすことができない可能性があります。

つまり、病院や施設にしてみれば、「万が一のときに、支払能力のある人」が連帯保証人の要件となるからです。

また、病院や施設によっては、保証人が二人必要なところもあります。

高齢な夫婦のどちらか片方が保証人になることが多いために、それ以外にもう一人安定した収入のある人を保証人として求めてくるわけです。

このように、いわゆる「おひとり様」ではないにもかかわらず、あえて身元保証代行サービスを利用しなければならないケースというのも、実際にはかなり多いのです。

身元保証サービスに関しては以下のページをご覧になってください。

介護施設・老人ホームへの入居する際の保証人代行サービス

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