最近は、お墓参りにいく機会が減ってしまったという人も多いことでしょう。
久しぶりにお墓参りに行くことになっても、作法などはすっかり忘れてしまっていたりする人も少なくないと思います。
また、お墓参り当日に持参すべきものがよく分からなくて、現地で足りないものがあってあわててしまうこともあるかも知れません。
ここでは、お墓参りに行く前に知っておくべき、正しい作法と当日に持参すべきものについて解説をしています。
最低限知っておきたいお墓参りの作法やマナー
お墓参りの正しい作法といっても、必ずしもその通りにやらなければならないという決まりのようなものはありません。
また、宗派による違いやその地域による慣習の違いなどもあります。
ここでは、あくまでも一般的なお墓参りの基本的な流れや作法について解説をしてみたいと思います。
寺院墓地の場合は最初に本堂・本尊にお参りをする
寺院墓地にお参りに行く際には、自分のお墓のところに行く前に、住職に挨拶をして本堂に参拝します。
このときに、住職への手土産が必要かどうかを気にする人もいるようですが、基本的には必要ないと考えていいでしょう。
住職と特に親しくて手ぶらでは行きにくいという人の場合は、賞味期限の長い菓子折りなどを持参するといいでしょう。
ただし、たくさんの人がお墓参りに訪れるお盆の時期などに、すぐに傷んでしまうような果物や賞味期限の短い菓子類などをみんなが持参するのは、かえって住職に迷惑をかけてしまう可能性がありますので注意が必要です。
お墓に着いたら一礼をしてから掃除にとりかかります
本堂への参拝をすませてお墓の前に到着したら、まずは合掌して一礼をします。
そして、お墓の掃除に取り掛かることになります。
墓石に水をかけながら、たわしや歯ブラシなどで汚れやコケなどを落とし、最後に雑巾できれいにふき取るようにします。
墓石の掃除が終わったら、周辺の雑草を取りのぞいたり落ち葉などをホウキで掃き清めたりします。
古くなった卒塔婆などがたまっている場合は、寺院や霊園にお願いして処分をしてもらうようにします。
墓前に花をそえる~シキミやキクが一般的
掃除が終わったら、墓前に花をそえます。
お墓参りのときに持参する花は、シキミやキクが一般的です。
花は、大きな墓地や霊園だと周辺で販売されていることが多いですが、近くに売っていなければ事前に購入して持参するようにしなければなりません。
次回のお墓参りまで期間があって、花が枯れてしまうことが予想される場合には、寺院や霊園の管理事務所に枯れたあとの処分をお願いしてみるといいでしょう。
墓石に水をかけてお清めをする~お酒をかけるのはダメ
花をそえたら、墓石にきれいな水をかけてお清めをします。
水をかけるのは、故人と縁が深い人から一人ずつ順番に行います。
故人がお酒好きだったりした場合に、故人が喜ぶようにと墓石にお酒をかける人もいるようですが、石が変色してしまったりする可能性がありますので、やめておいた方が無難です。
また、水鉢がある墓石の場合は、そこにもきれいな水を入れておきましょう。
水鉢というのは、墓石の前にある楕円形のくぼみのことで、ときどき勘違いをしてそこに線香を入れてしまう人もいるようですが、間違えないように気をつけましょう。
線香についた火に息を吹きかけて消すのはタブー
お墓を水で清めたら、次に線香をお供えします。
束になった線香に火をつけるのは、けっこう苦労することが多いものです。
屋内であれば、ろうそくを灯してその炎で線香に着火させることができますが、お墓は屋外にありますので、風があるとろうそくの炎はすぐに消えてしまいます。
線香に着火させるための専用のライターなどが売られていますので、そういったものを利用するとスムーズにいくでしょう。
また、線香についた火を、息を吹きかけて消すのはタブーとされています。
手であおいで消すか、線香を振って消すようにしましょう。
線香は、お墓参りが終わったあとに、かならず燃え切っているのを確認してから立ち去るようにします。
お供えした線香が強風で飛ばされて、山火事が発生してしまったりすることが実際にあるようなので、注意をしなければなりません。
半紙や器のうえにお供え物をそなえます
線香の次はお供え物です。
お供え物は、墓石にじかに置くのではなく、半紙や器などの上に載せるようにします。
お供えものはお菓子やお酒など、故人が好物だったものをおそなえするといいでしょう。
また、春の彼岸のときには「牡丹餅(ぼたもち)」、秋の彼岸のときには「おはぎ」をお供えするのが一般的です。
「牡丹餅」と「おはぎ」の違いがよく分からないという人もいるかと思いますが、実はこの2つはまったく同じもので、春と秋で呼び名が違っているだけです。
お供え物は、お墓参りが終わったら放置しないで持ち帰るのがマナーとされています。
故人の好物をそのまま置いたままにしておきたい気持ちは分かりますが、そのままにしておくと腐ったり動物などに荒らされたりすることも多いので、持ち帰るのが正解ということになります。
合掌をして先祖や故人の冥福を祈ります
お供え物をしたら、最後に合掌をして先祖や故人の冥福をお祈りします。
このとき、立ったままで行うのではく、腰を低くしたりしゃがんだりするようにします。
立ったままだと墓石を上から見下ろすことになるため、しゃがんで目線を低くするのがいいとされています。
合掌をするときに、数珠を手にかけるようにするとなおいいでしょう。
また、そのときに、お経や念仏、題目などを唱えるようにするのもいいでしょう。
もちろん、ただ黙って冥福を祈るだけでも問題ありません。
お墓参りをするときに忘れずに持って行くもの
お墓参りに行くのは年に数回程度の人が多いと思いますので、いざ行くときになって何を持って行ったらいいのか忘れてしまうこともあるでしょう。
ここでは、お墓参りに行く前にチェックをしておきたい持ち物について、解説をしてみたいと思います。
お墓を掃除するときに使う物~たわし・ホウキ・雑巾・ごみ袋
まず、お墓を掃除するときに必要になるものを紹介します。
霊園や寺院で用意されている可能性が高いものとして、バケツ、ひしゃく、ホウキがあります。
これらは持って行くとなるとけっこうかさばりますので、霊園や寺院で用意されていないかどうか事前に確認をしておくといいでしょう。
墓石を掃除するためのたわしやスポンジ、雑巾といったものは用意されていませんので、必ず自前のものを持参するようにします。
石の細かい部分を掃除するには、歯ブラシが便利ですので、必要があれば持って行くようにしましょう。
また、本格的に墓石をきれいにするのであれば、手が荒れないようにゴム手袋なども持って行った方がいいでしょう。
雑草や落ち葉、枯れた花などを持ち帰る必要がある場合には、それを入れるためのゴミ袋も用意しておかなくてはなりません。
かつては寺院や霊園で焼却してくれるところも多かったのですが、最近では条例で野焼きが禁止されているために、持ち帰る決まりになっているところが増えています。
花やお菓子などのお供え物と忘れがちなライターやハサミなどの小物類
お墓参りをするときには、花やお菓子などのお供え物、線香などは忘れずに用意をしておく必要があります。
意外に忘れがちなのが、線香に火をつけるためのライターや花の茎を切るためのハサミ、お供え物を置くための半紙といった小物類です。
現地に行ってからあわてないように、そういったものも含めてしっかりと準備をしておく必要があります。
掃除用具のところでも書きましたが、バケツやひしゃくなどは霊園や寺院で用意されているところが多いです。
もし、そういったものが用意されていなくて、家から持って行くのもかさばるので大変だということであれば、空のペットボトルを2本~3本持って行くことで代用が可能です。