法事・法要の基礎知識

法要のやり方に関する基礎知識~場所・会食・服装・僧侶への謝礼

はじめて法要の施主(法事をとりおこなう人)になる人にとっては、具体的に何をどうしたらいいのか分からないことも多いと思います。

法要を行う場所や服装、そして会食の準備や僧侶への謝礼など、事前に知っておくべきことはたくさんあります。

ここでは、法要のやり方に関する基礎的なことを紹介していますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

法要を行う場所と事前に知っておくべき段取り

法要を行うためには、まずどこで行うかを決めなければいけません。

大きく分けて、自宅で営むケースと菩提寺で営むケース、霊園で営むケースがありますが、法要を営む場所によって事前の段取りなどが変わってきます。

それぞれの場所ごとに、どのように準備を進めて行くべきかについて紹介してみたいと思います。

自宅で営むときには家の周りや室内をきれいにしておく

参列者の数がそれほど多くなく、自宅の室内にある程度のスペースがある場合には、自宅で法要を行うことも多いと思います。

自宅で法要を行う際には、家の周りや室内をきれいに清掃しておかなくてはなりません。

また、室内に派手なインテリアなどがある場合には、片づけておくのがマナーです。

仏壇が移動可能であれば、参列者が礼拝をしやすいように、部屋の中央などに移動をしておくといいでしょう。

もちろん、移動できないような大きな仏壇の場合はそのままの位置でかまいません。

位牌は、仏壇の一番下側に移しておきます。

また、菓子や果物、生花といったお供え物も事前に準備をしておく必要があります。

お供え物に関しては宗派によって異なりますので、僧侶や地元の古い檀家さんなどにアドバイスをしてもらうといいでしょう。

菩提寺で法要を営むときにはお供え物や位牌を持参

参列者の数が多かったり、自宅に参列者全員が入れるだけの広いスペースがなかったりするときには、菩提寺や霊園で法要を営むことになります。

菩提寺で法要を行う場合には、施主は予定の時間よりも少し早めに出向いて、僧侶に挨拶をしたあと、参列者の方を出迎えます。

生花や果物といったお供え物や位牌は、基本的には家から持参することになります。

ただし、お寺によってはお供え物などを用意してくれるところもあるようなので、どのようにしたらいいのか事前に確認をしておくといいでしょう。

霊園で営む場合は施主や家族は早めに到着するようにします

霊園で法要を行う場合も、菩提寺のときと同様に、施主や家族は早めに到着するようにします。

少なくとも、僧侶による読経が始まる30分以上前には会場に入るようにしましょう。

僧侶が到着したら挨拶を済ませ、霊園に支払う会計なども早めに済ませておくといいでしょう。

位牌やお供え物などを置く場所も、霊園の担当者に聞いて、その指示に従うようにします。

法要はどのような流れで進行するのか?

法要は、僧侶の読経に始まり、そのあと参列者による焼香を行い、最後に僧侶の法話で終わるというのが一般的な流れです。

焼香は故人との関係が深い順番に行うのが正しいとされていますが、実際にはそれほどこだわる必要はないようです。

施主や家族などが焼香をしたあとは、席が近い人から順番に行う形で問題ありません。

時間的な目安としては、読経から始まって法話が終わるまで、1時間くらいと考えておけばいいでしょう。

そのあと、全員でお墓に行って、お参りをすることになります。

お墓には、生花と線香をお供えします。

また、卒塔婆がある場合は、それも立てるようにします。

地域や宗派によっては、僧侶がお墓まで一緒にいって読経をすることもありますので、事前に確認をしておくといいでしょう。

法要を行うときの服装~喪服にすべきか平服でいいのか

法要を営むときの服装ですが、施主や家族は、初七日、四十九日、一周忌までは喪服を着るのがマナーになります。

三周忌以降は、簡略化して平服で行うことが多くなります。

ただし、その場合であっても、施主や家族の方は参列者よりもラフな服装にならないように気をつけなければいけません。

平服であっても地味目の服装が基本です。

三周忌以降に平服で行う際には、参列者への案内状に「平服でお越しください」と書き添えてあげると親切です。

法要のときに僧侶に渡す謝礼の目安~御布施・お車代・御膳料

法要の際に、僧侶に渡す謝礼の金額で悩む施主の方も多いと思います。

僧侶に聞いても、「お気持ちで」などと言われることが少なくないからです。

法要のときに僧侶に渡すお布施には決まった金額というものはありませんが、おおよその目安として3万円~5万円と考えておけばいいと思います。

法要の規模や寺院や僧侶の格などを考えて、非常識にならない範囲でお渡しすればいいでしょう。

また、自宅や霊園まで僧侶に出向いてもらった場合には、お布施とは別に「お車代」を渡す必要があります。

お車代は、5千円~1万円程度が目安となります。

ただし、自分たちで送迎をしたり、タクシーなどを手配したりする場合には、お車代は必要ありません。

さらに、法要が終わったあとの会食を僧侶が辞退されたときには、お布施やお車代とは別に「御膳料」という形で5千円~1万円をお渡しするのが礼儀です。

つまり、僧侶が自宅や霊園まで出向いて、なおかつ会食を辞退された場合には、「御布施」「お車代」「御膳料」という3種類の表書きの袋を用意する必要があるわけです。

また、それらとは別に、卒塔婆を書いてもらったときには、御卒塔婆供養料として、3千円~5千円を寺院に納める必要があります。

こちらは「お気持ち」というわけではなく、寺院によって金額が決まっていますので、事前に確認をしておくといいでしょう。

法要が終わったあとに行われる会食(お斎)の進め方

法要が終わったあとに、僧侶や参列者の方々を食事でおもてなしするのが一般的です。

これを会食とかお斎(おとき)などといいます。

法要とこのお斎を合わせて「法事」と呼ぶのが一般的です。

法要を霊園で行う場合には、会食室があったり、近くのお店を紹介してくれたりしますが、自宅や寺院で法要を行う場合には、あらかじめ料亭やレストランなどを予約しておかなくてはなりません。

こうした会食(お斎)を省略するケースもありますが、その場合には、参列者の方に折り詰め、酒の小瓶、引き出物などを法要が終わったあとに手渡すようにします。

お斎のときに用意する料理や会場の席順はどうするか?

会食で出す料理に関しては、四十九日までは忌中となりますので、本来であれば精進料理を出すのが正解ですが、最近ではそれほどこだわらないところも多くなっているようです。

ただし、その場合であっても、レストランや料亭には法事の集まりであることを伝えておき、慶事のときに出す料理は省いてもらうようにしなければなりません。

法事なのに「鯛の尾頭付き」では、どう考えても非常識です。

お斎のときの席順ですが、僧侶が出席される場合は、一番上座に座ってもらいます。

施主や家族などの故人と近い関係の人は、末席に座るようにするのがマナーです。

それ以外の人の座る場所に関しては、特に神経質になる必要はありません。

会食を始める前の施主のあいさつと代表者による献杯

参列者が全員席についたのを確認したら、まずは施主がひと言あいさつをします。

そのあと、親族を代表する人に「献杯」の挨拶をしてもらいます。

慶事のときのように「乾杯(かんぱい)」ではなく、「献杯(けんぱい)」となりますので、間違わないように注意をしなければなりません。

献杯の挨拶は、あまり長くならないように、手短にするようにしましょう。

また、お斎は故人を偲ぶための場ですから、献杯をするときには、乾杯のときのように盃を高く上げたり、大きな声で唱和したりしないようにします。

また、盃を飲み干したあとに拍手をするなどということも行ってはいけません。

帰りに渡す引き出物はどれくらいのものを用意すべきか?

会食がひと通り終わったら、最後に施主が締めくくりのあいさつをして、散会となります。

このとき、参列者にあらかじめ用意をしておいた引き出物を渡すのを忘れないようにしなければいけません。

ただし、参列者全員に渡すのではなく、夫婦で参列してくれた人などには、どちらか一人に渡すようにします。

また、お斎の引き出物は、どの程度のものを用意したらいいのか悩む人もいるかも知れません。

法事のときには、結婚式などの慶事とはことなり、香典としていただいた額は食事代と引き出物でほとんど全額をお返ししてしまうという考え方が一般的です。

法事で一般の参列者の方からいただく香典は1万円が相場だと思いますが、会食費用を5千円と考えると、引き出物は3千円~5千円程度のものを用意すべきといえます。

つまり、香典としていただいた1万円に対して、8千円~1万円をお返ししてしまうということになります。