お葬式

香典袋の表書きの正しい書き方~御霊前と御仏前はどう使い分ける?

通夜やお葬式、法要などへ参列するときに、香典袋の表書きをどう書くべきか悩む人も少なくないでしょう。

「御霊前」と「御仏前」という表書きはよく見かけると思いますが、それ以外にも「御香典」「御香料」「御玉串料」「御榊料」「お花料」といった書き方をすることがあります。

これらの香典袋の表書きは、宗教や宗派によって違うのはもちろんのこと、持って行くタイミングによっても変わってきます

ここでは、香典袋の正しい書き方について解説をしてみたいと思います。

御霊前と御仏前の使い分けは四十九日を過ぎたか過ぎていないか

一般的な香典袋の表書きである「御霊前」と「御仏前」の使い分けですが、基本的には四十九日前であれば「御霊前」が正しいといえます。

そして、四十九日を過ぎたあとの表書きは「御仏前」ということになります。

なぜそのような使い分けをするのかといいますと、仏教では四十九日に仏様になれるかどうかの審判がくだされるとされているからです。

四十九日前は、まだ仏様になっていないただの霊であるため、香典袋には「御霊前」と書くわけです。

四十九日をすぎて成仏したあとは、仏様に対する香典ということで「御仏前」と書くことになります。

ですから、基本的にお通夜から三十五日までの法要には、香典袋の表書きは「御霊前」と書くのが正解ということになります。

そして、四十九日の法要以降は、「御仏前」と書かれた香典袋を使うことになるのです。

ただし、浄土真宗の場合には、往生成仏といって亡くなったあとすぐに仏様になれるとされていますので、通夜やお葬式でも「御仏前」と書かれた香典袋を使うことになります。

ちなみに、仏式の葬儀で宗派が浄土真宗となる割合は、全体の17%弱です。

つまり、仏式で行われる葬儀や法要の6件に1件は浄土真宗ということになります。

御霊前と御仏前以外の表書きはどういったときに使用するのか

御霊前と御仏前の使い分けはお分かりになったかと思いますが、それではそれ以外の「御香典」「御香料」「御玉串料」「御榊料」「お花料」といった表書きはどういったときに使うのでしょうか。

基本的にどういったときにでも使える御香典と御香料

仏式のお葬式や法要の場合、基本的には四十九日を境に御霊前と御仏前を使い分ければいいことになります。

しかし、浄土真宗のように同じ仏教であっても宗派によって香典袋の書き方が違ってくることがあります。

そのため、宗派が分からない葬儀や法要に参加するときは、表書きをどうすべきか悩んでしまうかも知れません。

そういったときには、「御香典」か「御香料」のどちらかを書いておけば問題ありません

御香典を持って行くわけですから、ずばりそのまま「御香典」や「御香料」でいいわけです。

この「御香典」や「御香料」であれば、すべての仏教宗派で使えますし、四十九日の前かあとかも気にする必要はありません

御玉串料や御榊料は神式の葬儀や法要のときに使われます

日本の葬儀は仏教式のイメージが強いですが、神式で行われることもあります。

国内で神式の葬儀が行われる割合はわずか2.5%ほどで、非常にまれではあります。

しかし、いざ神式の葬儀に参列することになったときにあわてないように、神式での香典袋の書き方を覚えておくといいでしょう。

神式で葬儀や法要が行われるときの香典袋の表書きは、「御玉串料」か「御榊料」と書くのが一般的です。

その他にも「御神前料」や「御神饌料」といった書き方をすることもあります。

神式の葬儀や法要の場合には、これらのどの書き方をしても問題ありません。

また、仏教の場合の「御霊前」と「御仏前」のように、途中で書き方が変わるということもありません

お花料はキリスト教や無宗教の人の葬儀や法要のときに使われます

キリスト教や無宗教の人が葬儀や法要を行うときに使われるのは、「お花料」という表書きです。

日本国内においてキリスト教式の葬儀が行われる割合は全体の1%未満と非常に少ないですが、無宗教の人の葬儀は意外に多く、18%ほどあるといわれています。

無宗教の人の葬儀は「自由葬」などとも呼ばれ、当然のことながら僧侶による読経などはありません。

献花や献奏によって音楽を奏でたりして、故人を見送るというスタイルになるのが一般的です。

地域によってはお通夜見舞いを持参するところもあります

香典は、通夜か葬儀のいずれかに持参するのが普通です。

葬儀と通夜の両方に参列するときには、どちらかに参列するときに香典を持参すればいいことになります。

しかし、地方によっては葬儀に持参する香典とは別に、お通夜見舞いを持参する風習のところもあります

そういった風習の地域であれば、お通夜見舞いと香典を別々の袋に分けて持参するようします。

その場合、表書きが両方とも「御霊前」ではどちらの分かわからなくなってしまいますので、お通夜に持参する分の表書きは「御通夜見舞」と書く必要があります。

知らないと恥をかく香典袋に関するマナー

香典袋に関して気をつけなければいけないのは、表書きだけではありません。

基本的なマナーを知っておかないと、あとで恥をかくことになります。

ここでは、常識として知っておくべき香典袋に関するマナーについて書いてみたいと思います。

蓮の模様の香典袋を使うのは仏教式の葬儀や法要だけです

香典袋はいろいろな種類のものが売られていますが、どれを使ってもいいというわけではありません。

よく目にするのが蓮の花の絵柄が入っている香典袋ですが、これは仏式の葬儀や法要にしか使えません

神式やキリスト教の葬儀に参列するときに、うっかりとそうした香典袋を使ってしまうと恥をかくことになってしまいます。

神式の場合には、無地の香典袋をつかうのが基本になります。

キリスト教式の場合は、無地のものか百合の花が書かれたものを使います。

十字架が書かれた香典袋なども売られているようですので、そういったものを利用してもいいでしょう。

香典袋に新札は入れない方が無難です

お祝いごとでは祝儀袋のなかに新札を入れるといったことがよく行われますが、香典袋には新札は入れるべきではないという習慣があります。

香典袋に新札を入れると、まるで亡くなるのを待っていたように思われるというのが理由のようです。

そういった古くからの風習も気にしない人が多くはなっていますが、年配の方のなかには気にする人もいるかも知れませんので、香典袋に新札を入れるのは避けた方が無難といえます。

もし手元に新札しかないような場合は、一度折り目をつけてから入れるようにするといいでしょう。

もちろん、新札がいけないからといって、あまりにも使い古されたしわくちゃのお札を入れるというのもマナー違反ですので注意しましょう。

香典袋は薄墨で書くのがマナーだとされています

香典袋は、普通の筆ペンやサインペンなどではなく、薄墨で書くのがマナーだとされています。

薄墨は悲しみを表すといわれています。

「悲しみで涙が落ちて、硯の墨が薄くなってしまった」という意味合いがあるようです。

また、「突然の知らせを受けて、しっかりと墨をする間もなくかけつけました」という意味合いもあるようです。

もちろん、いまどき香典袋を書くためにわざわざ硯で墨をする人はいないと思いますので、百円均一などで売っている薄墨の筆ペンを使って書くようにするといいでしょう。

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